「日本最強の圧力団体」と言われる日本医師会(日医)。約18万人の医師によって構成され、傘下の政治団体・日本医師連盟(日医連)を通じて活発に政治活動を行っている。強大な政治力と資金力を活かして、自らの利益となる政策を推進したり、不都合な制度改正を潰したりしているのだ。
【一覧】1000万円超えも…日医連から大物政治家たちへの「献金リスト」
前編記事『医療費を高止まりさせ、自分たちはボロ儲け…最強の圧力団体「日本医師会」の恐ろしい実態』に引き続き、日医の実態について明かしていこう。
1000万円単位でカネをバラまく
その最たる例が、2023年12月15日に報じられた2024年度の診療報酬改定案だろう。財務省は先述した診療所の利益率の高さを理由に、診療報酬のマイナス改定、すなわち値下げを主張。
対する厚労省は賃上げや物価高を理由に1%台後半のプラス改定を要求し、鈴木俊一財務相と武見敬三厚労相の折衝を経て、岸田文雄首相の裁定に持ち込まれた。
結果、財務省が押し切られて「0.88%プラス改定」という折衷案で決着したが、その裏でも日医連が暗躍したと囁かれる。
「岸田氏が首相に就任した2021年、日医連から彼の政治資金管理団体に1000万円が献金されていました。同年冬にも診療報酬の改定が議論となりましたが、その3ヵ月前には財務相を務めていた麻生太郎氏の派閥に、日医連の関連団体から計5000万円もの献金があったと判明しています」(東京新聞編集委員で、医療行政を長年取材してきた杉谷剛氏)
こちらは、2023年に医歯薬業界から自民党の政治家にいくら献金があったのかを示している。とりわけ目立っているのは、日医が擁立した組織内候補である羽生田俊と自見英子、さらには歯科医からなる日本歯科医師連盟が擁立した山田宏の3人。
加えて歴代の厚労相を中心とした自民党の厚労族、さらに予算編成のカギを握る歴代の財務相にも多額の政治資金が渡っていることが見て取れる。
しかも日医連は有力議員のパーティー券を大量に購入し、実質的な献金を行っている。一回当たりの金額が20万円以下であれば政治資金収支報告書に購入者名を記載する義務がないため、最近では表に出づらいパーティー券の形で、事実上の献金を行うケースも増えている。
日医連の資料によれば、2023年の同団体の収入総額は約21億円。そのほとんどは各地の医師が日医に支払った会費であり、各都道府県の医師連盟を通じて吸い上げられている。
しかしこれらは元をたどれば国民が納めた税金や社会保険料であり、最終的には政治家へと還流するカネになっているのだ。