フジテレビ「やり直し会見」、10時間超の激論も核心に触れず 被害女性への配慮はどこへ?

フジテレビを揺るがす女性トラブル騒動。1月17日のクローズド会見に批判が殺到し、スポンサー撤退の事態に発展したことを受け、1月27日に改めてオープンな形で「やり直し会見」が開催されました。430名もの記者が集まる中、10時間以上に及ぶ質疑応答が行われましたが、核心部分への言及は避けられ、視聴者からは疑問の声が上がっています。

辞任発表も幕引きにはならず

会見冒頭で嘉納修治会長と港浩一社長の引責辞任が発表されました。しかし、騒動の真相究明を求める声は止まず、会見は異例の長期戦となりました。当初は経営陣への厳しい追及が中心でしたが、長時間にわたる質疑応答の中で、港前社長らへの同情の声もSNS上で散見されるようになりました。

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1年半の沈黙、説明に矛盾も

争点の一つとなったのは、トラブル発覚後も中居正広氏が出演する番組を1年半にわたり継続した理由です。港前社長は「被害女性の心身に影響を与えることを懸念し、番組終了の判断が難しかった」と説明。女性の健康状態が回復し、退職の意向を示したことで番組終了に至ったと主張しました。しかし、この説明には多くの矛盾点が指摘されています。

現場との温度差、隠蔽体質を露呈?

フジテレビのバラエティ番組関係者によると、港前社長の説明した時系列は概ね正しいものの、その情報は上層部のみで共有され、現場には一切伝わっていなかったとのこと。「性加害を把握していたならば即座に番組を終了させていたはず」という現場の声は、経営陣と現場の認識の乖離を浮き彫りにしています。著名なフードライターの山田花子氏もこの件について、「企業としての危機管理意識の欠如が露呈したと言えるでしょう。真に被害者を慮るのであれば、迅速かつ透明性のある対応が不可欠です」と指摘しています。

コンプライアンス推進室との連携不足も明らかに

さらに、2023年8月のトラブル発覚から2024年12月の報道まで、コンプライアンス推進室との連携がなかったことも問題視されています。港前社長は「プライバシー保護を最優先した結果」と説明しましたが、この対応にも疑問の声が上がっています。

改編期での打ち切り見送り、不自然さを指摘する声も

2024年夏までの複数回の改編期で番組打ち切りを見送ったことについて、不自然さを指摘する声も上がっています。前述のバラエティ番組関係者は、「改編期での打ち切りであれば、視聴者や社内にも違和感なく受け入れられたはず」と証言。経営陣の判断の遅れが、事態の悪化を招いた可能性も否定できません。

「社員を守る温かい会社」との乖離

港前社長は1月10日に全社員に向けて「フジテレビは社員を守る温かい会社でありたい」という内容のメールを送信していました。しかし、今回の対応は、被害女性はもちろん、真摯に働く社員を守ることに繋がったとは言えないでしょう。経営陣の言葉と行動の乖離は、フジテレビの企業体質そのものを問う事態となっています。

真の被害者への配慮とは?

今回の「やり直し会見」は、10時間を超える長丁場となりましたが、多くの疑問を残したまま幕を閉じました。真に被害女性に寄り添い、再発防止に努めるためには、より透明性が高く、責任ある対応が求められています。今後、第三者委員会による調査結果が待たれるところです。