「日本の普通」に世界が驚いた: 映画『小学校~それは小さな社会~』を制作した山崎エマ監督


この「規律と秩序、集団生活における協調」は、どこから来るのか。昨年12月に公開された映画『小学校~それは小さな社会~』では、そこでの6年間が「日本の子どもたちを“日本人”に作り上げる」とし、学校生活のありのままを見せてくれる。

日本の教員や保護者にとっては、ありきたりの日常かもしれない。だが、先行上映された海外では、大きな反響を呼んだ。「教室の掃除」や「給食の配膳」、「日直」制度、運動会や各種の学校行事の運営に児童らが積極的に関わり、成長していく姿が、観客に強い印象を与えたという。フィンランドの首都ヘルシンキでは、4カ月間のロングランとなり、同国での上映館は20にも及んだ。ドイツや米国の映画祭で入選し、韓国ではテレビ放映された。

また、この映画撮影から生まれた短編作品『Instruments of a Beating Heart』は、第97回米アカデミー賞(2025年)の短編ドキュメンタリー部門にノミネートされた。

日本人は「小学校でつくられる」

山崎さんは父親が英国人、母親が日本人。神戸で生まれ、大阪の公立小学校で6年間過ごし、中高は神戸のインターナショナルスクールに進んだ。米国の大学で映画制作を学び、卒業後はニューヨークでキャリアを積む。

「自分は日本人だと思っていたのだが、英語が話せて髪の毛も茶色のハーフは小学校で私だけ。一人だけ周りの人と違う存在なのか、日本人であるということはどういうことなのかという問いは、長い間自分の心の中にあった」

米国では、仕事の場でよく「責任感がある」「時間にきっちりしている」「チームへの貢献が素晴らしい」などと評価された。

「特別なことはしていないのに、褒められる。そういう時は『日本人としては普通のことだよ』と聞き流していた。一方で、10年ぐらい前に『自分は何者なのか』と自ら問い直してみた時期があった。突き詰めていくと、自分の特性や価値観の源流は、やはり小学校時代に培ったものにあると気付きました」



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