フジテレビ、CM停止の嵐で業績下方修正!窮地を救うのは不動産事業?

フジテレビジョンを巡る一連の騒動を受け、親会社のフジ・メディア・ホールディングス(HD)は2025年3月期業績見通しを下方修正しました。広告収入の大幅な減少を受け、今後の経営戦略に注目が集まっています。

広告収入激減!CM停止の影響は甚大

今回の騒動を受け、多くの広告主がフジテレビでのCM出稿を見合わせ、ACジャパンの公共広告への差し替えやキャンセルが相次ぎました。フジテレビは広告主との信頼関係維持を優先し、広告料金を請求しない方針を打ち出していますが、その影響は甚大です。

ネットタイム広告は期初予想より108億円、スポット広告も120億円減少する見込みで、広告収入全体では期初予想より233億円少ない1252億円(2024年3月期対比15%減)となる見通しです。

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あるテレビ局幹部は、「震災などで全局のCMがACジャパンに差し替わることはあったものの、1局だけ止まるのは初めての経験。期末までの3カ月弱で営業利益が従来予想より49%も減少するとは驚きだ。CMがほぼすべて止まる影響は甚大で恐ろしい」と危機感を募らせています。

フジ・メディアHDの業績への影響は?

フジ・メディアHDの売上高は従来予想より501億円少ない5482億円(同3%減)に、営業利益は173億円少ない180億円(同46%減)に、純利益は192億円少ない98億円(同73%減)に下方修正されました。期初予想と比べた落ち込み幅は営業利益で49%減となります。

救世主は不動産事業?多角経営で生き残りを図る

フジテレビ単体の業績は厳しい状況ですが、フジ・メディアHDはメディア・コンテンツ事業以外にも、サンケイビルを中心とした不動産事業、ホテル事業、神戸須磨シーワールドなどの観光事業を展開する多角経営を行っています。特に都市開発・観光事業は好調で、全社営業利益の過半を占めています。

ある信用調査会社の幹部は、「フジ・メディアHDに確認したところ資金は潤沢にあり、資金繰りに問題はないとの回答だった。倒産といった事態は想定していない」と話しており、当面の資金繰りは問題なさそうです。

「都市開発・観光事業の好調がフジ・メディアHD全体の業績を下支えしていると言えるでしょう。メディアを取り巻く環境が厳しさを増す中、不動産事業など安定した収益基盤を持つことが重要性を増しています」と、不動産業界アナリストの山田一郎氏(仮名)は分析しています。

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今後の経営戦略が鍵

今回の騒動はフジテレビの経営に大きな打撃を与えましたが、フジ・メディアHDは多角経営によってその影響をある程度軽減できる可能性があります。しかし、中核事業であるメディア・コンテンツ事業の立て直しは急務であり、今後の経営戦略が問われることになります。