MBCの元気象キャスター、オ・ヨアンナさんが昨年9月に自ら命を絶った事件で、職場いじめが原因だった可能性が浮上し、韓国社会に衝撃を与えています。遺書や録音データ、メッセージの内容が公開され、生前の苦悩が明らかになりました。
遺書と録音データが語る悲劇
オ・ヨアンナさんは28歳という若さでこの世を去りました。携帯電話に残された遺書は原稿用紙17枚分、2750字にも及び、同僚2人をいじめの加害者として名指ししています。
MBC気象キャスターのオ・ヨアンナさん(享年28歳)の遺族が公開した写真
公開された録音データには、先輩と思われる人物がオさんを厳しく叱責する様子が記録されています。「わざとやってるんじゃないのか?」「先輩に対して礼儀がなってないことを反省しているのか?」といった詰問に加え、「お前のせいで限界だ」といった感情的な言葉も含まれており、日常的なパワハラの存在を窺わせます。
また、退勤後のオさんを会社に呼び戻そうとするやりとりも録音されており、先輩に怒鳴られたオさんが「今日は約束があり無理です」と丁重に断る場面も。こうした状況が繰り返されていたことが、オさんを精神的に追い詰めた一因と考えられます。
日記に綴られた心の叫び
2022年10月20日の日記には、「私の最善が他人にとって最悪だった時ほど、心が壊れることはない」という痛ましい言葉が綴られています。職場での努力が認められず、逆に非難されるという理不尽な状況に、オさんは深く傷ついていたのでしょう。
フードジャーナリストの佐藤恵氏(仮名)は、この事件について次のように述べています。「メディア業界は競争が激しく、プレッシャーも大きい。特に若手は先輩からの指導や評価に敏感になりやすく、精神的な負担を抱えやすい環境にあると言えるでしょう。」
MBCの対応に批判の声
オさんは2021年5月にMBC気象キャスターに採用され、2022年3月頃からいじめの対象になったとされています。同僚キャスターによるミスをオさんの責任にしたり、退勤後に呼び戻したりする行為が繰り返されていたとのこと。
亡くなる前、オさんはMBCの関係者4人にいじめを訴えていましたが、放送局側は適切な対応を取らなかったと指摘されています。この対応の遅れが、悲劇を招いた要因の一つと言えるかもしれません。
職場いじめの根絶に向けて
この事件は、韓国社会における職場いじめの深刻さを改めて浮き彫りにしました。才能ある若者が、いじめによって将来を絶たれるという悲劇を繰り返さないためにも、企業や社会全体でいじめ対策に取り組む必要があります。 専門家からは、相談窓口の設置や研修の実施など、具体的な対策の必要性が指摘されています。