6月5日、フジ・メディア・ホールディングスは取締役会を開催し、元タレントの中居正広氏と元社員の女性アナウンサーとの間で発生したトラブル事案について、当時の代表取締役社長であった港浩一氏と専務取締役であった大多亮氏の2名に対し、法的責任を追求するために提訴する方針を明らかにした。このフジテレビによる元社長らの提訴という異例の措置は、世間に大きな波紋を広げている。また、元編成部長ら5名の関係者に対する処分も併せて発表された。
元社長らを提訴へ、その理由とは?
同社は今回の決定に至った経緯について、「当社及びフジテレビと利害関係のない立場にある外部の独立した弁護士を選任し、フジテレビの元取締役の法的責任の有無について調査・検討してまいりました」と説明。弁護士の調査・検討結果を踏まえ、上記2名の提訴準備に入ったことを明らかにした。フジテレビの清水賢治現社長は同日17時30分から囲み会見を開き、一連の内容についてコメントした。
世間の反応と背景にある問題
しかし、この突然の提訴の動きに対し、世間からは困惑の声が上がっている。SNS上では早速、対応への驚きが並び、《なんでフジが港前社長を提訴するんだ? 泥沼すぎる》《会社全体の問題じゃないの?》《フジテレビはどうも「自分たちは悪くない」と言いたいみたい》といった批判的な意見や疑問が多数見られる。騒動を受けて辞任した港氏と大多氏を、今度はフジテレビ自身が提訴するという展開に、多くの人が「泥沼化」への違和感を抱いている状況だ。
そもそも、中居氏と女性との間のトラブルは2024年12月に最初に報じられた。その後の第三者委員会の報告書によれば、フジテレビ社員も含めた食事会を通じて知り合った女性が、中居氏の自宅で意に沿わない性被害を受けたことでトラブルに発展したとされる。この問題には、フジテレビの幹部による関与も取り沙汰されており、長年にわたり女性アナウンサーを巡る「上納文化」のようなものが常態化していたのではないかとして、会社の体質自体が厳しく問題視される事態となった。会社全体としての責任の取り方が問われていたはずの中で、今回の提訴という動きは一部で理解を得られていない側面もある。
フジテレビの元代表取締役社長である港浩一氏のポートレート。中居正広氏を巡る女性トラブルに関連し、フジテレビが法的責任を追求するために提訴した人物。
失われた信頼と今後の展開
一連の騒動は、フジテレビの信頼を大きく損なわせた。報道後、約300社以上の企業がCMを差し替え、2025年5月30日時点では、CM再開を保留した企業は全体の7割近くに及ぶと発表されている。[internal_links]いまだに信頼が完全に回復しない現状を踏まえ、今回の提訴は今後のフジテレビの未来を見据えた、過去の経営陣との「決別」を意味する大きな決断だと前出の芸能ジャーナリストは指摘する。これにより、失われた信頼の回復を図る狙いもあると言えるかもしれない。
さらに同記者会見で清水社長は、元社長らの提訴に加えて、中居正広氏自身への法的責任を追求する可能性についても言及した。「我々はすべての選択肢を残したままという状態であるとしか申し上げられません」と述べ、中居氏に対しても提訴の可能性を排除しない姿勢を示した。この発言から、今回の問題は元経営陣への責任追及に留まらず、今後も新たな展開がある可能性が示唆されており、引き続きその動向が注目される。
結論
フジテレビが中居正広氏を巡るトラブルに関連して元社長らを提訴するという異例の措置に踏み切ったことは、過去の問題との決別と信頼回復への強い意思の表れとも見られている。しかし、この決定は新たな波紋を呼び、今後の裁判の行方や、中居氏自身への法的措置の可能性も含め、事態はなお流動的であり、テレビ局の信頼性に関わる問題として引き続き社会的な関心を集めるだろう。