札幌ススキノ事件:田村浩子被告、法廷で娘の異変に気づかぬ“運命の夜”を語る

2023年7月、札幌・ススキノを震撼させた頭部切断事件。被害男性Aさん(当時62歳)の命を奪った田村瑠奈被告(30歳)の両親もまた、この事件に深く関わっていた。本稿では、殺人ほう助などの罪で起訴された父・田村修被告の公判で、母・浩子被告(62歳)が証言台に立ち、事件発生直後の緊迫した状況、そして娘の異変に気づけなかった“運命の夜”を振り返った様子を詳細にレポートする。

母親の視点から見た“運命の夜”:異変に気づかぬまま

浩子被告は、事件当日である2023年7月2日の夜、娘の瑠奈被告と夫の修被告が帰宅した際、既に就寝しようと横になっていたと証言。娘と直接言葉を交わすことはなく、瑠奈被告が洗面所で身支度をしている様子をぼんやりと眺めていたという。当時、浩子被告は、まさか娘が被害者Aさんの頭部を自宅に持ち込んでいるとは夢にも思わなかっただろう。

洗面所の様子洗面所の様子

その後、浩子被告が洗面所を利用した際、浴室の曇りガラス越しに黒いゴミ袋が入った衣装ケースのようなものを目撃したものの、娘の私物には触れないようにしていたため、深く追求しなかったと語った。この衣装ケースこそ、後に事件の核心となる証拠の一つであった。

突拍子もない告白と現実との乖離

翌日の昼頃、浩子被告は起きてきた瑠奈被告と会話をしていたところ、娘から「頭を持って帰ってきた」という衝撃的な告白を受けた。しかし、普段から瑠奈被告は突拍子もない発言をすることがあったため、浩子被告は冗談だと受け流し、深刻な事態とは捉えなかったと証言。「従業員の方が驚くといけないから、血をキレイにしてきた」という瑠奈被告の言葉にも、浩子被告は特に疑問を抱かなかったという。

事件の重大さに浩子被告が気づいたのは、翌3日に新聞でススキノでの遺体発見のニュースを読んだ時だった。事件との関連性を疑い、不安な思いで娘に新聞を見せたところ、瑠奈被告は「それ取っておいて」とだけ答え、その反応から浩子被告は大きなショックを受けたという。

恐怖と不安に苛まれた日々:事件発覚後の心境

浩子被告は、事件発覚後の数日間、恐怖と不安に苛まれながらも、夫・修被告とはLINEで連絡を取り合っていた。しかし、娘に聞かれることを恐れて、事件については一切触れることができなかったと証言。「娘が誰かを殺したかもしれない」という言葉を文字にすることさえ恐ろしかったと、当時の心境を吐露した。

事件現場となったホテル事件現場となったホテル

そして数日後、浩子被告はついに、自宅の浴室に隠されていたAさんの頭部を目にすることとなった。「来てみて」と瑠奈被告に促され、浴室に入った浩子被告は、床に置かれた頭部を目の当たりにし、言葉を失ったという。

結論:事件の真相究明へ

浩子被告の証言は、事件発生直後の緊迫した状況、そして家族間の複雑な関係性を浮き彫りにした。今後の公判で、事件の全容解明が進むことが期待される。