新型コロナウイルスの感染防止策として、安倍晋三首相が要請した全国一斉休校から2週間となるのを前に、自治体ごとに休校期間を延長するか再開するかの判断が分かれている。感染者の少ない地域などでは再開を決めた一方、大阪市や神戸市など関西の自治体は次々と延長を決定した。休校を延長した教育現場からは新学期に向けて「いつまで休校するのか」との悲鳴も上がる。
たまるストレス
「卒業式は18日にやります。春休みがどういう形になるかはまだわかりません」。大阪市立泉尾(いずお)北小学校(同市大正区)は12日午後、職員会議を開き、小田村直昌校長(61)が教諭ら16人とともに今後の対応を確認した。
同市はいったん2月29日から今月13日までの休校を決定。11日午後に改めて休校の延長を発表した。
各学校や市にはこの間、保護者らからの問い合わせが相次いだといい、小田村校長は「14日以降の方針が定まらないことが先生も保護者も子供たちにもストレスだった」と打ち明ける。
休校期間をひとまず15日まで約2週間とし、11日に春休みまでの延長を決定した神戸市の担当者も「当初は収束するかもしれないという話もあった」と振り返る。
難しい判断
大阪市の松井一郎市長は休校延長を明らかにした際、「学校では(感染者が)一人もいない。開校という判断もありかなとは思った」と話した。実際、11~12日にかけ、感染者が一人も確認されていない佐賀県や富山市などは16日からの学校再開を決定した。佐賀県の山口祥義(よしのり)知事は、今後感染者が確認された場合は「感染経路の分析結果を踏まえ、対応を修正していく」としている。
一方、兵庫県小野市は「県内で感染者がおらず、学校の感染リスクは少ない」として休校にしなかったが、市内の勤務者の感染が確認されたことで12日から休校にしており、各自治体は状況をみながら判断していくことになりそうだ。
新学期に懸念
こうした中、教育現場ではあらゆる状況に対応できるよう対応を続けている。
2月29日から休校を継続している堺市の場合、市教委によると、休校期間中も教諭らは学校で勤務。共働きなどのため学校で受け入れをした子供への対応や、学習の遅れを取り戻すための授業計画の練り直し、通知表の作成、給食費を返すための事務作業などにあたってきた。
市教委の担当者は「もし今月下旬以降に教員が感染したら、新学期に再開できず、さらに休校が延びる学校も出てくるのではないか」と懸念する。
泉尾北小でも未履修の単元を新年度に繰り越すための計画作りを進めているが、小田村校長は「ウイルスが蔓(まん)延(えん)している限り休校というなら、4月から学校を開けるのか」と訴え、神戸市の担当者も「国や県の方針をうかがうしかない」とこぼした。