韓国若手公務員の離職増加、飲み会席なし事件で職場文化に疑問符

韓国でMZ世代の若手公務員の離職が増加している中、飲み会でのある出来事がオンライン上で物議を醸し、職場文化への疑問の声が高まっている。新人公務員が飲み会に遅れて参加した際、席がなかったため帰宅してしまったというエピソードが波紋を広げている。

飲み会席なし事件、何が起きたのか?

オンラインコミュニティに投稿された情報によると、中央官庁の飲み会に部長級から新任の9級公務員まで幅広い職員が参加していた。少し遅れて到着した新人公務員は席を探したが、既に他の職員で埋まっており、「そこは誰々の席だ」と3回も断られ、結局帰宅してしまったという。

韓国のオフィス街の様子韓国のオフィス街の様子

この出来事に、投稿者は「かつては上司がいる場でこのような行動は考えられなかった」と困惑を示した。一方、ネット上では新人への配慮が欠けている、席を用意しない方が非常識だ、職場いじめとして訴えられてもおかしくないといった批判が殺到した。中には、新人が遅れて到着した時点で既に仲間外れにする雰囲気があったと指摘し、職場文化そのものに問題があると訴える声もあった。 人事コンサルタントの山田さんは「新入社員にとって最初の飲み会は、職場の人間関係を築く上で非常に重要な機会です。席を用意しないということは、彼らを排除する意思表示と受け取られかねません」と警鐘を鳴らす。

若手公務員の離職増加の背景

韓国国会立法調査所の報告によると、ここ5年間で退職した公務員のうち、新人の割合は2019年の17.1%から2023年には23.7%まで増加している。特に在職期間が5年未満で辞職した職員は、2019年の約6500人から2023年には1万3566人と倍増している。

職場環境、人間関係の問題

今回の飲み会での出来事は、氷山の一角に過ぎないかもしれない。長時間労働や厳しい上下関係、ハラスメントなど、若手公務員が直面する問題は多岐にわたる。職場環境の改善、より風通しの良い人間関係の構築が急務となっている。 組織心理学の専門家である佐藤教授は、「若手世代は、ワークライフバランスや個人の尊重を重視する傾向が強いです。旧態依然とした職場文化は、彼らの離職を加速させる要因となるでしょう」と分析する。

キャリアアップの機会の不足

公務員の仕事は安定していると言われる一方で、キャリアアップの機会が限られているという側面もある。成長意欲の高い若手にとって、これは大きな不満につながる可能性がある。 より柔軟な人事制度、研修制度の充実など、若手が能力を最大限に発揮できる環境づくりが求められている。

まとめ:持続可能な組織運営のために

若手公務員の離職増加は、韓国社会にとって深刻な問題だ。優秀な人材の流出は、行政サービスの質の低下、ひいては国家全体の競争力低下につながる恐れがある。 今回の飲み会席なし事件を機に、職場文化の見直し、働き方改革など、抜本的な対策を講じる必要がある。持続可能な組織運営のためにも、若手世代が安心して働き続けられる環境を整備することが不可欠だ。