メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、ドナルド・トランプ米大統領がメキシコからの輸入品に追加関税を課す大統領令に署名したことを受け、対抗措置として米国からの輸入品に関税および非関税障壁を課すよう指示しました。米墨間の貿易摩擦が激化する様相を見せています。
米国の追加関税発動とメキシコの対抗措置
トランプ大統領は、メキシコが不法移民や麻薬の流入阻止に不十分であるとして、メキシコからの輸入品に25%の追加関税を発動しました。これに対し、ロペス・オブラドール大統領は、メキシコの国益を守るため、対抗措置として米国からの特定の輸入品に関税を課す方針を表明しました。
メキシコのロペス・オブラドール大統領(2025年1月、メキシコ市)
ロペス・オブラドール大統領は、米国との対決ではなく対話と協調を求めているとしながらも、自国の経済を守るための断固とした姿勢を示しました。「プランB」と呼ばれる対抗措置には、関税だけでなく非関税障壁も含まれるとされています。
報復関税の対象品目と影響
関係筋によると、メキシコは米国から輸入する豚肉、チーズ、生鮮食品、鉄鋼、アルミニウムなどに5~20%の報復関税を検討しています。ただし、初期段階では自動車産業は対象外とする見通しです。
メキシコは米国にとって最大の輸出先であり、米国もメキシコにとって最大の貿易相手国です。2023年の米墨間の貿易額は、米国からメキシコへの輸出が3220億ドル、メキシコから米国への輸出が4750億ドルを超えています。今回の関税措置は、両国の経済に大きな影響を与える可能性があります。
専門家の見解
経済アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「今回の貿易摩擦は、両国経済にとって大きなリスクとなる。特にメキシコの自動車産業は米国市場に大きく依存しており、関税の影響は深刻なものとなるだろう」と指摘しています。
メキシコとアメリカの貿易
メキシコ側の主張と今後の展開
ロペス・オブラドール大統領は、トランプ政権が主張する「メキシコ政府と麻薬カルテルの癒着」を「中傷」と一蹴。政権発足以来、大量の麻薬を押収し、麻薬密売に関与した多数の個人を拘束した実績を強調しました。
今後の展開については、両国政府間の協議が焦点となります。メキシコ側は、対話を通じて問題解決を図りたい意向を示していますが、米国側の出方次第では、貿易摩擦がさらに激化する可能性も懸念されています。