その壁は、今年も高く厚いものだった。全国を8つのブロックに分け、エリア対抗の形式で行われる団体戦「ABEMA地域対抗戦2025 inspired by 羽生善治」の決勝戦、関東B 対 中部が4月19日に放送された。2年連続の決勝同一カードを戦った関東Bだったが、3勝5敗で敗れ準優勝に。チームを率いた永瀬拓矢監督代行(32)は、「チーム中部の壁は厚かった」と悔しそうな表情を見せていた。
全員がタイトル経験者という超強力布陣となった今年の関東B。チーム監督の渡辺明九段(40)が怪我治療に伴い、永瀬九段が“監督代行”に就任、高見泰地七段(31)が追加招集されるなど開幕前には別の注目を集めることとなった。それでも前年準優勝チームの安定感は抜群。厳しい予選Bリーグを2位通過、本戦では関東ダービーを制し、2年連続の決勝戦へ進出した。
前年の決勝と同一カードとなった決勝戦では、先鋒戦でいきなり伊藤匠叡王(22)、次鋒戦で永瀬監督代行と奇襲作戦が的中。2連勝で好スタートを切った。しかし、前年覇者のチーム中部はこれに発奮。第3局から中部の澤田真吾七段(33)、藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)、青嶋未来七段(30)が白星を積み重ね、あっという間に4連勝で逆転、突き放される展開となった。
それでもステージ2では伊藤叡王が澤田七段を破って意地を見せたものの、最後は3勝5敗で敗退。関東Bは2年連続で準優勝となった。
監督代行の重役を務めた永瀬九段は、「目標は決勝進出で、昨年と同じ決勝の舞台に立たないと渡辺監督に申し訳ないと思っていた」と心境を吐露。大会には参戦できなかった渡辺監督とも心ひとつに戦っていたことを明かした。
予選リーグでの中部の対戦をはじめ、関東A、中国・四国とのフルセットの大激闘など、関東Bは対局数の多さとその熱戦も目立った。永瀬監督代行は「予選から本当に大変な勝負ばかりだった」と総括。「決勝の舞台には立てましたがチーム中部の壁は厚く、去年と同様に敗れてしまったのは残念に思います」と今年も届かなかった“最強地域”の座に悔しそうな表情も見せていた。
東京・神奈川のファン“2000万の声援”を受け奮闘した関東B。永瀬監督代行は「パブリックビューイングの方で温かく、我が身のように応援してくださったことを感謝しています」とコメント。「優勝という結果をお届けしたかったが、次回こそは優勝したい」と感謝とともに、リベンジも誓っていた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合は監督と出場登録棋士4人の計5人が参加。全員が1局ずつ指す「ステージ1」と、ステージ1で勝った棋士が負けるまで指し続ける「ステージ2」に分かれ、5人を先に倒した方が勝利チームとなる。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)
ABEMA TIMES編集部