【北京=三塚聖平】中国で、高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムの消費者向けサービスが3日までに始まった。北京や上海など50都市を皮切りとして、来年には提供範囲を大幅に拡大させる計画。当初、中国政府は2020年のサービス開始を計画していたが、これを前倒しさせた。巨大な国内市場でいち早く商用サービスを本格展開し、ハイテク分野での米国などとの国際競争で優位に立つ狙いとみられる。
「中国は5Gの商用時代に入った」。中国移動通信(チャイナモバイル)など中国の携帯電話大手3社が5Gの消費者向けサービスを今月1日から一斉に正式開始したことについて、中国紙の経済日報(電子版)はこう強調した。当初は北京、上海、天津、重慶の4直轄市に加え、四川省成都や福建省アモイなど46都市からサービスを開始。今年末までには全国で13万超の5G基地局を整備する。
料金は、中国紙によると中国移動通信の最も安いプランで月額128元(約2千円)。サービス開始前には、携帯大手3社で1千万件を超える5G契約の予約があったという。5G対応スマートフォンは、華為技術(ファーウェイ)や北京小米科技(シャオミ)など中国メーカーが相次いで発売している。
5Gは、韓国と米国の一部でスマホ向けサービスが始まったが本格的な普及はこれからだ。人工知能(AI)や自動運転など幅広い技術開発につながるインフラとなることが見込まれており、各国で5Gをめぐる競争が激化している。中国は米国とハイテク覇権を争う中で、大規模な商用サービスにより実績を積み重ねる考えとみられる。工業情報化省の陳肇雄(ちん・ちょうゆう)次官は10月31日に、工業や交通、エネルギー、農業などの分野で5Gの活用を加速させる考えを示している。