サンタクルス日本病院、日系社会で最も長い歴史を持つ医療機関が、深刻な経営危機に直面しています。100人以上が解雇され、未払い賃金や退職金の問題が表面化し、大きな波紋を広げています。解雇された元職員たちの悲痛な声が、今、私たちに何を問いかけているのでしょうか。
経営危機で100人以上解雇、未払い賃金に苦しむ職員たち
1939年創立という長い歴史を持つサンタクルス日本病院。日系社会にとって重要な役割を担ってきたこの病院が、深刻な経営危機に陥り、1月から100人以上の職員を解雇しました。しかし、問題はそれだけではありません。昨年末の給与、13ヶ月給与、そして退職金が未払いとなっていることが、解雇された元職員たちによって告発され、大きな問題となっています。
サンタクルス日本病院の経営危機により解雇を告げられた職員
職員たちの切実な訴え:生活の危機、そして裏切られた信頼
多くの元職員たちが、生活苦や病院への不信感を訴えています。44歳の理学療法士、フェルナンドさんは、「解雇予告手当も支払われず、12月分と13ヶ月分の給与も未払い。家族もおり、生活に困窮している」と訴えています。人事部への問い合わせにも、「資金を探している」という回答しか得られない状況に、不安と怒りを募らせています。
8年間勤務した31歳のジュリアナさんは、「何年も献身的に働いてきた同僚たちが、何の支援もなく解雇され、精神的なダメージを受けている。請求書の滞納、借金の返済不能、食料にも困る生活に、絶望と屈辱を感じている」と語っています。
同じく8年間勤務した41歳の看護技術者のジュリアナさんは、「パンデミックの間も病院に人生を捧げてきたのに、保障もなく退職させられ、本来受け取るべきものも支払われていない。騙された気持ちだ」と憤りを隠しません。そして、「長年学び、実践してきた『サンタクルス流の思いやりのある対応』とは、共感と愛、他者への配慮に満ちたものでした。職員に対するこの扱いは、果たして『サンタクルス流』と言えるのでしょうか?」と、病院の姿勢を厳しく批判しています。
未払い賃金、退職金、そして社会保障の未加入:深刻化する問題
30歳の看護師、ライスさんは、「何の説明もなく解雇され、退職金も40%しか支払われていない。交通費、食費、休日手当、13ヶ月給与、1月分の給与も未払い。社会保障への登録すらされていなかった」と、病院の杜撰な管理体制を告発しています。
39歳の看護技術者、ミレーネさんは、「かつては日本文化を感じさせる上質な看護が誇りだった病院が、今では非人間的な労働環境に変わってしまった」と嘆き、日系社会の信用失墜を危惧しています。「約80人のグループで状況を共有しているが、皆、労働権を受け取ることなく解雇された。子どもや家族がいる職員たちの生活は困窮している。日系社会に現状を知ってほしい」と訴えています。
日系社会の信頼回復へ:サンタクルス日本病院の課題
今回の問題は、単なる経営危機にとどまらず、日系社会における信頼関係をも揺るがす深刻な事態となっています。医療従事者としての誇りを持って働いていた職員たちの声に耳を傾け、一刻も早い解決策を見出す必要があるでしょう。 病院側は、職員たちへの誠実な対応と、透明性のある情報公開が求められています。 今後のサンタクルス日本病院の動向に、日系社会全体が注目しています。