7月3日に公示される夏の参議院選挙に向け、各政党は選挙戦の準備を本格化させています。衆議院で少数与党となっている自民・公明両党にとっては、参院選での過半数獲得が政権運営の鍵となります。公明党は、先の東京都議会議員選挙で36年ぶりに候補者が落選するなど厳しい状況が続いており、支持母体である創価学会の集票力にも変化が見られるとの指摘があります。こうした背景の中、公明党はどのような戦略で参院選に臨むのでしょうか。公明党の三浦信祐選挙対策委員長(50)にその展望を聞きました。
公明党 三浦信祐選挙対策委員長、参院選戦略を語る
直近の選挙における課題
今年の東京都議選と参院選が重なる12年に一度の「ダブル選挙」は、公明党にとって例年以上の負担が伴うとされています。結党以来、都議選を最も重要な選挙の一つと位置づけ、総力を挙げて臨んできた公明党ですが、その直後の参院選は大きな挑戦です。特に、前回の都議選で長年の議席を失ったことは、党内外に衝撃を与えました。これは、長らく公明党を支えてきた創価学会の組織力の変化を示唆するものであり、参院選に向けての集票戦略の再構築が求められています。こうした厳しい選挙情勢の中で、公明党がどのように支持を広げていくかが注目されています。
参院選勝利に向けた戦略
三浦選挙対策委員長は、今回のダブル選挙がもたらす負担の大きさを認めつつも、「わが党に限らず計り知れないものがあり、どの党も相当な力を注いでくる」と述べ、他党も同様に厳しい戦いを強いられるとの認識を示しました。公明党の参院選戦略については、「これまでの実績とこれからのビジョンを懸命に訴えること以外、特別な戦略というのはありません」と語りました。重点的にアピールする実績として、幼児教育・保育の無償化、携帯電話料金の引き下げ、不妊治療の保険適用などを挙げ、これらが与党として粘り強く取り組んできた成果であることを強調しました。これらの政策実現を通じて、生活者の視点に立った政治を行っていることを有権者に訴えかける方針です。
重要政策:軽減税率の見解
6月6日、公明党の斉藤鉄夫代表が食料品を対象とした消費税の軽減税率引き下げを参院選の公約に盛り込むことを断念したとの報道がありました。これについて、直近まで減税の必要性を強く訴えていたことから、なぜ急にトーンダウンしたのかとの問いに対し、三浦委員長は「公約では『減税と給付による生活応援』を柱の一つとして掲げており、減税に後ろ向きになったというのは事実誤認です」と強く否定しました。所得税のさらなる負担軽減や、自動車ユーザー減税、奨学金減税なども公約に打ち出していることを説明しました。軽減税率引き下げについては、物価高対策のための時限的取り組みとしてではなく、中長期的な福祉政策として重要な課題に位置づけ、今後も議論を重ねるスタンスを鮮明にしたと述べました。軽減税率導入を主導し実現させた公明党として、次は恒久的な引き下げを検討すべきだと問題提起した意図を強調しました。
結論
公明党は、都議選での苦戦や支持母体の変化といった課題に直面しながらも、来る参院選に向けて「実績とビジョン」を愚直に訴える王道の選挙戦略で臨む構えです。特に、幼児教育無償化や不妊治療保険適用といった生活に密着したこれまでの成果を前面に押し出し、有権者の支持獲得を目指します。また、消費税の軽減税率引き下げについては、短期的な物価対策ではなく、長期的な福祉政策課題として議論を深める方針を明確にし、政策スタンスの誤解を払拭することに努めています。厳しい選挙情勢の中で、公明党がどのように戦い、議席を維持・拡大できるかが注目されます。
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