「ザリガニが大量にゆで上がっていた」──。先日、Xに投稿された水田とみられる場所での大量死写真が、約4300万回表示されるなど大きな反響を呼んでいます。田んぼの水が「風呂と同じくらい熱かった」との証言もあり、この異様なザリガニ大量死の原因に関心が集まっています。
Xで相次ぐ「ザリガニ大量死」の報告
18日に投稿された写真には、田んぼと思われる場所で100匹以上のザリガニが横たわる光景が写し出されていました。翌日には別の投稿者も、水田で複数死んだザリガニの姿を公開。投稿した埼玉県幸手市の男性は「熱い水から逃れるように稲にしがみつくザリガニもいた」と緊迫した状況を伝えています。各地から寄せられるザリガニ大量死の報告は、今年の記録的な猛暑との関連性が指摘されています。
猛暑により、水田とみられる場所で大量死したアメリカザリガニ。SNSで拡散し話題となっている異様な光景。
専門家が指摘する二つの原因:高水温と酸欠
このザリガニ大量死の原因について、ザリガニ生態研究の専門家である岡山大学環境生命自然科学学域の中田和義教授に見解を伺いました。中田教授は、現場を直接見ていないと断りつつも、考えられる主要な原因を二つ挙げられました。特に、水深が浅い水田では熱しやすく、アメリカザリガニの生存限界とされる39度を大幅に超える高水温となったと考えられます。また、高水温下では水中に溶け込める酸素量が減少し、活動が活発になるザリガニが必要とする酸素量とのバランスが崩れ、酸欠状態に陥りやすくなります。これらの複合的な要因が、今回の大量死につながった可能性が高いとの見解です。
猛暑で水温が上がり、熱い水から逃れるように稲にしがみつくアメリカザリガニ。
大量死したザリガニの対応と注意点
中田教授は、アメリカザリガニが水田に穴を掘って漏水させたり稲を食害したりと、農業への被害も起こしうるとし、「いないに越したことはない」と述べました。大量の死骸は悪臭や病害虫の原因となる恐れがあり、速やかな処分が推奨されます。死骸の処分方法について、環境省野生生物課は、自治体の分別に従い一般ごみとして廃棄できると説明。ただし、大量死が発生した場合は、個人での対応が難しいことも考えられるため、自治体への相談を求めています。
今回のザリガニ大量死は、近年の猛暑が身近な生態系に与える深刻な影響を示唆します。高水温と酸欠という異常環境への対応、そして大量の死骸処理について、冷静かつ適切な対処が求められています。
出典:
- 日本農業新聞
- Yahoo!ニュース (Source link)