韓国の外貨準備高、4年7ヶ月ぶりの低水準も4100億ドル台を維持

韓国銀行(韓銀)の発表によると、2024年1月末時点での韓国の外貨準備高は4110億1000万ドルとなり、前月末比で45億9000万ドル減少しました。これは、2020年6月以来、4年7ヶ月ぶりの低水準となります。

ウォン安阻止のためのドル売り介入が影響か

今回の減少幅は、昨年4月以来9ヶ月ぶりの大きさとなっています。4000億ドルという心理的抵抗線を辛うじて上回りましたが、ウォン安阻止のための市場介入が影響していると考えられています。

韓国経済専門家のパク・ミンソク氏(仮名)は、「米国の利上げ継続によるドル高圧力に加え、世界的な景気後退懸念もウォン安に拍車をかけている」と指摘します。 輸出依存度の高い韓国経済にとって、ウォン安は輸出競争力を高める側面もありますが、輸入物価の上昇を通じてインフレを加速させるリスクも孕んでいます。

韓国ウォンと米ドルの紙幣韓国ウォンと米ドルの紙幣

減少要因は多岐にわたる

韓銀は、外貨準備高の減少要因として、四半期末効果の消滅による金融機関の外貨預金減少、国民年金との通貨スワップ拡大、為替市場の変動性緩和措置などを挙げています。特に、国民年金との通貨スワップ取引限度額は、昨年12月に500億ドルから650億ドルに引き上げられました。これは、1ドル=1450ウォン台まで進んだウォン安ドル高を抑制するための緊急措置でした。

この通貨スワップについては、韓銀関係者は「スワップ取引期間中は外貨準備高が取引金額分減少するものの、満期時には資金が全額返還されるため、一時的な減少要因」と説明しています。 また、韓銀は「外貨準備高が4000億ドルを超えてからドル買いを積極的に行っていないことも影響している」と付け加えています。

世界9位の座を維持

2021年10月末には4692億ドルまで増加した外貨準備高は、2022年以降、減少傾向にあります。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ開始以降、ドル高基調が続いていることが背景にあります。しかし、2023年12月末時点では、韓国の外貨準備高は世界9位を維持しています。今後の世界経済の動向やFRBの金融政策次第で、韓国の外貨準備高はさらに変動する可能性があります。 国際金融アナリストのキム・ヨンジン氏(仮名)は、「今後の韓国経済の安定のためには、外貨準備高の適切な管理とウォン安対策が不可欠となるだろう」と述べています。

今後の見通し

韓国経済は、輸出の減少やウォン安による輸入物価上昇など、様々な課題に直面しています。外貨準備高の減少は、こうした経済的な不安定性をさらに高める可能性があります。今後の動向を注意深く見守る必要があります。