アメリカ合衆国ドナルド・トランプ前大統領がパレスチナ自治区ガザ地区を米国が「所有」するとの意向を示したことで、中東のイスラム諸国から強い反発の声が上がっています。この発言は、イスラム過激派による新たなテロ行為を誘発する可能性も懸念されており、中東情勢の更なる不安定化が危惧されています。
トルコ、サウジアラビア、エジプトなど主要イスラム諸国が非難
トルコのフィダン外相は、トランプ氏の発言について「中東は受け入れることができない」と明言し、協議すること自体が間違いであると批判しました。(トルコメディア報道)。
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サウジアラビアも、トランプ氏の発言直後に声明を発表。「パレスチナ国家樹立による2国家解決」の重要性を改めて強調し、サウジアラビアの立場は交渉の余地がないと断固たる姿勢を示しました。
エジプトのアブデルアティ外相も、パレスチナ自治政府のムスタファ首相兼外相との会談で、パレスチナ人によるガザ地区の早期復興と2国家解決への支持を表明しています。
ハマスとイスラム聖戦も反発、テロ再燃の懸念
ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマス、そしてハマスと連携する過激派組織「イスラム聖戦」も、トランプ氏の発言に強く反発。「どの国であろうと、我々の土地を占領することに反対する」と声明を発表しました。
イスラエルとハマスの戦闘は一時停戦中ですが、過去には親ハマスの中東武装組織がイスラエルや近海の商船への攻撃を繰り返した経緯があります。反欧米感情を持つイスラム過激派にとってパレスチナ問題は非常にセンシティブな問題であり、トランプ氏の発言が新たな攻撃やテロの引き金となる可能性も否定できません。中東情勢専門家、例えばカイロ大学のムハンマド・アリ教授(仮名)は、「今回の発言は火薬庫に火をつけるようなもので、極めて危険だ」と警鐘を鳴らしています。
ガザ地区の現状と今後の課題
ガザ地区は、長年の紛争と経済封鎖により、深刻な人道危機に直面しています。インフラは破壊され、失業率も高く、住民の生活は困窮を極めています。
今後の課題は、国際社会が協力してガザ地区の復興を支援し、和平プロセスを再開することです。しかし、トランプ氏の発言のような予期せぬ出来事が、和平への道を阻む可能性も懸念されます。
中東和平への道は険しい
イスラエル・パレスチナ問題の解決には、関係国間の信頼構築と妥協が不可欠です。しかし、トランプ氏の発言は、関係国間の緊張を高め、和平への道のりをさらに険しいものにする可能性があります。今後の動向に注視していく必要があります。