東海ガス田「シロナガスクジラ」:経済性なしと韓国政府が発表、今後の資源開発戦略は?

日本海に位置する深海ガス田「シロナガスクジラ」の探査ボーリングの結果、経済性がないと韓国政府が発表しました。大きな期待が寄せられていたプロジェクトの現状と、今後の資源開発戦略について詳しく解説します。

シロナガスクジラプロジェクトとは?

韓国政府が「シロナガスクジラ」と命名したこのプロジェクトは、東海(日本名:日本海)の深海に眠るガス田開発を目的としていました。尹錫悦大統領自ら発表し、安徳根産業通商資源部長官が「サムスン電子の時価総額の5倍」と強調するなど、国家的な期待を背負った一大プロジェクトでした。

ウエストカペラ号全景。韓国石油公社提供ウエストカペラ号全景。韓国石油公社提供

経済性なしの結論、その背景は?

昨年12月から探査ボーリングを行っていたウエストカペラ号は、4日に作業を終え韓国を離れました。産業通商資源部高官によると、ガス田の存在を示す兆候は確認されたものの、その規模は商業生産に見合う経済性を確保できる水準ではなかったとのことです。炭化水素ガス飽和度が低く、追加探査の必要性も低いと判断されました。

専門家の見解

資源開発コンサルタントの田中一郎氏(仮名)は、「深海ガス田開発は莫大な費用がかかるため、十分な埋蔵量と採算性が見込めない場合は撤退を余儀なくされることが多い」と指摘しています。今回のシロナガスクジラプロジェクトも、初期の経済性評価段階で事実上失敗に終わったと言えるでしょう。

今後の資源開発戦略

韓国政府は、今回の探査ボーリングの結果を東海深海の他の6カ所の有望構造の調査に活用する方針です。既存データの信頼性確保には一定の成果があったとし、今後の探査精度向上に繋げたい考えです。

海外企業への投資誘致

残る6カ所の有望構造については、海外企業からの投資誘致による探査ボーリングを計画しています。資源開発の活性化のためには、海外企業の技術と資金が不可欠と判断したようです。

プロジェクト発表時の誇張表現、政府は謝罪

当初、「サムスン電子の時価総額の5倍」といった誇張表現を用いたことについて、産業通商資源部は謝罪しました。「政務的な影響が介入し、意図しない結果となった」と釈明しています。

シロナガスクジラ有望構造の探査イメージ図シロナガスクジラ有望構造の探査イメージ図

まとめ:今後の展開に注目

シロナガスクジラプロジェクトは経済性がないと判断されましたが、韓国政府は今後の資源開発戦略を練り直すことになります。海外企業との連携や新たな技術導入など、今後の展開に注目が集まります。