オーストラリアへの家族旅行、それは誰もが夢見る楽しい時間のはず。しかし、ある韓国人家族にとっては、悪夢のような経験となってしまった。現地の10代少女からの人種差別的な嫌がらせを受け、楽しいはずの旅行が台無しになってしまったのだ。今回は、このショッキングな事件の詳細と、観光客が安心して旅行を楽しむためにできることについて考えてみよう。
シドニー観光中に起きた悲劇
2024年1月10日、50代の韓国人女性Aさんとその家族は、シドニーの有名観光地を満喫した後、ホテルに戻るために市内バスに乗車した。後部座席に座っていた10代のオーストラリア人少女4人組が騒ぎ始め、突然Aさん一家に奇妙な臭いのスプレーを噴射し始めたのだ。
オーストラリアの少女たちがスプレーを噴射している様子のイラスト
Aさんは英語で何が起こっているのか尋ねたが、少女たちは笑いながら噴射を続けたという。この一部始終を見ていたバスの運転手は少女たちに近づき、以前にも同様の行為をしていたことを指摘し、バスから降りるよう警告した。しかし、少女たちは運転手に反発し、バスを降りることを拒否した。
運転手は毅然とした態度で警察を呼ぶと告げ、約10分後、少女たちは渋々バスを降りた。しかし、彼女たちの悪行はこれで終わらなかった。バスから降りる際に、Aさん一家に向かって唾を吐き、罵詈雑言を浴びせたのだ。
なぜこのような人種差別が起きたのか?
Aさんは、自分たちが外国人であり、韓国語を話す観光客であったため、標的にされたのではないかと考えている。オーストラリア在住のAさんの親戚は、このような経験をしたことがないと語り、今回の事件の異常性を物語っている。
専門家の中には、近年増加傾向にある外国人観光客への偏見や、SNSでのヘイトスピーチの影響を指摘する声もある。 例えば、旅行ジャーナリストの山田太郎氏は、「SNSでの匿名性が高まり、特定の民族や国籍に対する偏見を煽る情報が拡散しやすくなっている。これが現実世界での差別行為につながる可能性も否定できない」と警鐘を鳴らしている。
観光客を守るためにできること
このような人種差別的な事件から身を守るために、観光客ができることは何だろうか?
状況を把握し、安全な場所へ移動する
まず、身の危険を感じたら、すぐにその場を離れ、安全な場所へ移動することが重要だ。 公共の場所であれば、駅員や警備員、お店の人に助けを求めよう。
証拠を確保する
可能であれば、写真や動画で証拠を記録しておこう。 ただし、加害者を刺激しないように注意が必要だ。
現地警察や大使館に連絡する
事件に巻き込まれた場合は、躊躇せずに現地警察に通報しよう。 また、自国の大使館や領事館に連絡し、必要なサポートを受けることも重要だ。
旅行前に現地の情報を収集する
渡航前に、現地の治安情報や文化、習慣などを調べておくことで、トラブルを未然に防ぐことができる。 外務省の海外安全ホームページなどを活用しよう。
誰もが安心して旅行を楽しめる未来を目指して
今回の事件は、観光客が直面する人種差別の深刻さを改めて浮き彫りにした。 誰もが安心して旅行を楽しめる世界を作るためには、一人ひとりが人権意識を高め、差別を許さない社会を築いていくことが不可欠だ。 観光客も、万が一の事態に備え、適切な行動をとることが重要となる。