ルーラ大統領(労働者等・PT)が6日、食料品の価格を下げるためには、高価な商品を買わないように国民を〝教育〟すべきだと発言したことを受けて、野党が強く反発し、SNSではハッシュタグ「#LulaEnganouOPobre(貧困層を欺いたルーラ)」が3万回以上投稿されて反響を呼んでいると、同日付エスタード紙などが報じた。
ルーラ大統領は昨年の食料品部門のインフレ率7・69%の原因を、ドル高、輸出の増加、および中銀の「罠」と決めつけ、「価格をコントロールするために最も重要なのは国民自身だ。スーパーに行って、ある商品が高いと感じたら買わない。もし全員が買わなければ、売る側は値段を下げざるを得ない。さもなければ商品は腐ってしまう」とインフレを購入者のせいにした。
同時に「人々を教育し、高価な商品を安価な商品に代替えすることで、国民は搾取されないようにする必要がある。これは、我々が国民と共に行わなければならない教育的取り組みだ。人々は搾取されるべきではない。国民の給与が上がったから価格を引き上げるのは許されない」と続けた。
この発言は、野党に批判材料を与え、ルーラ大統領の支持率改善に取り組む大統領府社会通信局(SECOM)にとって大打撃となった。1月に就任したばかりのシドニオ・パルメイラ長官は、政府のコミュニケーションミス、特に大統領の即興発言によって引き起こされた問題を修正しようとしている最中だ。
ニコラス・フェレイラ下議(自由党・PL)はルーラ大統領を皮肉り、「水道料金が高ければ、風呂に入らなければいい。お腹が空いていれば、食べなければいい。電気代が高ければ、電気をつけなければいい。運賃が高ければ、家に居ればいい。じゃあ、大統領が悪ければ、辞めさせればいいだけだ」と皮肉る動画を投稿した。
ジャイール・ボルソナロ元大統領(PL)もXで反応し、ルーラ氏の発言動画を転載し、最後に疑問符を付けた。同氏の三男エドゥアルド下議(PL)は、「ルーラの指摘は一つの解釈に過ぎない。インフレの責任はボルソナロが任命した中銀にある、責任は利益を追求する企業にある、責任は高い商品を買う消費者にあるというものだ」と指摘した。
PL党の他の議員たちも次々と反応を示し、フィリペ・バロス下議はルーラの指摘を「驚異的な偉業」とあざ笑い、カルラ・ザンベリ下議は「大統領が開き直って国民を侮辱している」と述べ、ジョゼ・メデイロス下議は、ルーラ氏の経済理論は「ノーベル賞受賞に値する」と皮肉った。
シロ・ノゲイラ上議(進歩党・PP)は「政府にとっては、国民が飲食をやめ、移動や活動をやめれば、価格が下がるということだ。省庁の経費削減や、国営企業に有能な人材を配置すること、経済の管理を改善することの必要性は、ないと言っているに等しい」と投稿した。
2018年の大統領選挙で保守党候補者だったジョアン・アモエド氏(ノヴォ党)は、ルーラ氏が「こんな無駄で無意味な発言に時間を費やすのではなく、(政府が)出費を減らす努力をすべきだ」と批判し、「本当に国民を搾取しているのは、高い税金を課し、高いインフレに陥れている政府だ」と続けた。
一方、与党に属する民主運動党(MDB)のアルセウ・モレイラ下議も非難の立場を示し、「この(ルーラ氏の)発言は挑発的だ。これが本当に、大統領が提示した解決策なのか?」と苦言を呈した。