フジテレビを巡る騒動が世間を賑わせています。元社員への対応、ガバナンスの欠如、そして時代錯誤な企業風土…様々な問題点が浮き彫りになっています。今回は、そんなフジテレビが見逃した大ヒットドラマ「孤独のグルメ」と、主演の松重豊さんの成功物語に焦点を当ててみましょう。
フジテレビの企業風土と「孤独のグルメ」の運命
かつて「楽しくなければテレビじゃない!」をスローガンに掲げ、一世を風靡したフジテレビ。しかし、時代の変化と共に、その企業風土が時代にそぐわないものになってしまったという指摘も少なくありません。元アナウンサーの長野智子氏もラジオ番組で、フジテレビ関係者から聞いたという「昭和的な企業風土」「過去の成功体験からの脱却の難しさ」といった証言を紹介しています。
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長野氏はさらに、若い社員の斬新な企画が「フジテレビらしくない」「キラキラしていない」といった理由で却下されるというエピソードも明かしています。そして、まさにこの「フジテレビらしさ」が原因で、同局は大きなチャンスを逃すことになったのです。それが、今やテレビ東京の看板番組となった「孤独のグルメ」です。
松重豊と「孤独のグルメ」の奇跡の出会い
「孤独のグルメ」は、松重豊さん演じる井之頭五郎が様々な街の食堂で食事を楽しむという、シンプルな構成のドラマです。深夜帯の放送ということもあり、当初は大きな注目を集めることはありませんでした。しかし、その独特の世界観と松重さんの自然体の演技が徐々に視聴者の心を掴み、じわじわと人気を獲得。劇場版も制作されるほどの大ヒット作品へと成長しました。
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実はこの「孤独のグルメ」、最初はフジテレビに持ち込まれた企画でした。しかし、当時のフジテレビ幹部は、その「キラキラ感」の無さから、企画を一蹴してしまったと言われています。グルメ評論家の山本益博氏も、「もしフジテレビが制作していたら、スタイリッシュさを追求しすぎて、原作の持つ素朴な魅力が失われていたかもしれない」と語っています。
テレビ東京と「孤独のグルメ」の成功
結果的に、「孤独のグルメ」はテレビ東京で制作されることになり、大成功を収めました。テレビ東京の自由な制作環境と、原作へのリスペクトが、このドラマの成功の鍵となったと言えるでしょう。そして、この作品は、松重豊さんにとってまさにハマり役となり、俳優としての地位を確固たるものにしました。
フジテレビが見逃した「孤独のグルメ」は、テレビ東京の看板番組となり、松重豊さんの代表作となりました。この成功物語は、時代の変化に対応することの重要性、そして「らしさ」にとらわれすぎない柔軟な姿勢の大切さを教えてくれるのではないでしょうか。