女優の八千草薫さん死去



八千草薫さん=2008年12月
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 可憐な雰囲気で親しまれ、「岸辺のアルバム」などのテレビドラマをはじめ映画、舞台で幅広く活躍した女優の八千草薫(やちぐさ・かおる、本名・谷口瞳=たにぐち・ひとみ)さんが24日午前7時45分、膵臓(すいぞう)がんのため死去した。88歳。大阪市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。今年2月にがんを公表し、治療に専念していた。

 昭和22年、宝塚歌劇団に入団。26年に映画「宝塚夫人」で映画デビュー。清楚(せいそ)で愛らしい役が人気を呼び、三船敏郎主演「宮本武蔵」(稲垣浩監督、29年)のお通役や、30年の日伊合作「蝶々夫人」のヒロイン役に抜擢(ばってき)され注目された。「男はつらいよ 寅次郎夢枕」「田園に死す」など多数の映画に出演する。

 活動の主軸だったテレビドラマでは、駐在所の巡査の妻を演じた「うちのホンカン」(50年、倉本聰脚本)など良妻賢母の役のイメージが強かったが、「岸辺のアルバム」(52年、山田太一脚本)で不倫に走る妻を演じ、自らの演技の幅を広げた。やることなすことピント外れの長女を演じた「ちょっとマイウェイ」(54年)や、「阿修羅のごとく」(同、向田邦子脚本)の二女役などで好評を得た。近年は平成29年のドラマ「やすらぎの郷」などに出演。舞台では「二十四の瞳」「早春スケッチブック」などで好演した。

 昭和32年に映画監督の谷口千吉氏と結婚。平成9年に紫綬褒章、15年には旭日小綬章受章。他に菊田一夫演劇賞、山路ふみ子映画功労賞など。



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