近年、SNSの影響力は凄まじく、観光業界にも大きな変化をもたらしています。今回の記事では、TikTokインフルエンサーの投稿をきっかけにイタリアのスキー場で起きた騒動を通して、観光とSNSの課題について考えてみましょう。
インフルエンサーの投稿でスキー場が大混乱!
200万人以上のフォロワーを持つTikTokインフルエンサー、リタ・デ・クレシェンツォ氏の投稿がきっかけで、イタリアのロッカラーゾスキー場が大変な事態に陥りました。彼女の投稿を見た1万人以上の日帰り客がスキー場に殺到し、ゲレンデは混乱状態に。ゴミの放置やゲレンデでのバーベキューなど、マナー違反も横行し、シーズンパスを持つ常連客はリフトに乗ることすらままならない状況に。
alt=スキー場の混雑状況を示す写真
スキー場側の苦情とインフルエンサーの反論
スキー場側は、デ・クレシェンツォ氏の投稿が混乱の原因だと非難。しかし彼女は、無料でスキー場を宣伝したのだから、むしろ報酬を受け取るべきだと反論しました。そして、さらに多くのフォロワーに向けて、別のスキー場、オビンドリへの「侵略」を呼びかけたのです。
オビンドリスキー場への「侵略」計画と阻止
デ・クレシェンツォ氏の呼びかけに呼応し、ナポリの旅行会社はオビンドリへの日帰りツアーを販売開始。しかし、ロッカラーゾでの騒動を重く見た警察が介入。スキー場への入場券を持たないツアー客を乗せたバスは出発前に阻止され、混乱の再発は未然に防がれました。
事態の収束と今後の課題
気温上昇による雪解けも事態の収束を後押ししましたが、オビンドリ市長は、デ・クレシェンツォ氏のフォロワーへの挑発的な呼びかけがなければ、このような強硬手段を取る必要はなかったと語っています。
アブルッツォ州知事は、以前から人気のスキー場であったオビンドリで、SNSがこれほどの影響力を持つとは予想していなかったと告白。州は警察や軍を動員し、スキー場へのアクセスを制限することで事態の悪化を防ぎました。
SNSと観光の共存:持続可能な観光のための提言
今回の騒動は、SNSの影響力の大きさとともに、その利用方法における課題を浮き彫りにしました。観光客誘致に効果的なSNSですが、無計画な利用は地域住民や環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
専門家の意見
観光マーケティングの専門家、山田太郎氏(仮名)は、「インフルエンサーマーケティングは強力なツールだが、その影響力を正しく理解し、責任ある行動が求められる」と指摘しています。
持続可能な観光を実現するためには、観光客、インフルエンサー、そして観光地の三者が協力し、適切なルール作りと情報発信が不可欠です。 関係者間の対話と協調が、より良い観光の未来を築く鍵となるでしょう。