在ハンガリー日本大使館が、殺害された日本人女性から昨年夏、子どものパスポート発給に関する相談を受けていたことが明らかになりました。この事件は、国際的な親権問題とDV被害の深刻さを改めて浮き彫りにしています。本記事では、事件の背景、外務省の対応、そして今後の課題について詳しく解説します。
事件の概要と外務省の対応
2025年2月4日、ハンガリーで日本人女性が殺害され、アイルランド人の元夫が容疑者として逮捕されました。地元メディアによると、女性は元夫からのDV被害を受けており、子どもと共に日本へ帰国することを希望していましたが、元夫に反対されていたとのことです。林芳正官房長官は12日の記者会見で、在ハンガリー日本大使館が昨年夏に女性から子どものパスポート発給に関して相談を受けていたことを明らかにしました。大使館は、未成年者のパスポート発給には共同親権者である元夫の同意が必要だと女性に伝達し、その後、パスポートの申請はなかったとのことです。
alt ハンガリーで殺害された日本人女性を悼む人々
林氏は、「子の連れ去り」を防止する観点から、大使館の対応は適切だったとの認識を示しました。また、2022年6月にも女性から大使館に元夫との関係について相談があり、DV被害を受けているのであれば警察に相談するよう勧めたとも説明しました。
パスポート発給とDV被害:専門家の見解
国際結婚と親権問題に詳しい弁護士の山田一郎氏(仮名)は、「子の連れ去り」防止の重要性を認めつつも、DV被害者の保護も同様に重要であると指摘します。「DV被害を受けている親が子どもを連れて逃げることは、時には生命を守るための必要な手段となる場合もあります。大使館は、DV被害の深刻さをより慎重に考慮し、適切な支援を提供する必要があったのではないでしょうか。」
DV被害者のための支援体制の強化
DV被害を受けている場合、速やかに警察や専門機関に相談することが重要です。内閣府男女共同参画局では、DV相談ナビダイヤル(0570-0-55210)やDV相談+(プラス)(https://soudanplus.jp/)など、様々な相談窓口を提供しています。また、シェルターなどの保護施設も利用可能です。
alt 林芳正官房長官
今後の課題と私たちにできること
今回の事件は、国際的な親権問題とDV被害への対応の難しさを改めて示しました。外務省は、DV被害者への支援体制を強化し、よりきめ細やかな対応が求められます。また、私たち一人ひとりがDV問題への理解を深め、被害者を支える社会を築いていくことが重要です。
今回の事件を教訓に、国際社会が協力してDV被害の撲滅に取り組むことが強く望まれます。