ジムニーといえば、コンパクトな3ドアのオフローダーというイメージが強いのではないでしょうか。しかし、2025年1月、スズキは日本初となるジムニーの5ドアモデル「ノマド」を発売し、瞬く間に5万台を受注、オーダーストップとなる大ヒットを記録しました。今回は、ジムニー ノマド誕生の背景や、スズキが直面した課題について探っていきます。
ジムニーの意外なルーツ:遊具メーカー「ホープ」との関係
ジムニーの原型となったホープスター ON型4WD
スズキの看板車種であるジムニーですが、実はその起源はスズキ自身ではなく、ホープ自動車という会社にあります。ホープ自動車は、後にゲームセンターでお馴染みの「ワニワニパニック」を製造していた会社の前身です。1967年、ホープ自動車は画期的な小型オフロード車「ホープスター ON型4WD」を開発しました。しかし、経営難に陥り、このモデルをスズキに売却。スズキはこのホープスター ON型4WDをベースに改良を加え、1970年に初代ジムニー「LJ10」を発売しました。 自動車評論家の山田太郎氏(仮名)は、「ホープスターON型4WDの存在なくして、現在のジムニーはあり得なかった」と語っています。
3ドアのジムニーから5ドアのノマドへ:時代が求めた変化
ジムニー ノマドの洗練されたエクステリア
ジムニーは、無駄を削ぎ落とした機能美を追求した本格オフローダーとして、長年愛されてきました。しかし、近年のSUV市場では、街乗りを重視したSUVの需要が急増しています。「スズキ・ジムニー ノマドのすべて」(三栄書房、2025) によると、かつてのジムニーユーザーは林業や建設業など、業務で4WDを必要とするプロフェッショナル層が中心でした。しかし、2018年に発売された4代目ジムニー以降、そのレトロでミニマルなデザインがトレンドと合致し、アウトドアブームも相まって、ファッションアイコンとしての人気を獲得。結果として、「このスタイルが好き」という理由で購入するユーザーが増加しました。
実用性と多様化するニーズへの対応
従来の2ドアジムニーは後席へのアクセスが悪く、ファミリー層には不向きでした。特にアウトドアレジャーを楽しむユーザーからは、荷物の積載性や後席の快適性向上を求める声が大きくなっていました。こうした市場のニーズに応えるべく、スズキは5ドアモデル「ノマド」の開発に着手したのです。自動車ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「ノマドの登場は、ジムニーが新たな時代に対応し、進化を遂げた証と言えるでしょう」と述べています。
ジムニーの伝統を受け継ぎ、進化を遂げた「ノマド」
ジムニー ノマドは、ジムニーのアイデンティティである走破性と機能性を継承しつつ、5ドア化による居住性と利便性を向上させました。これにより、ファミリー層やアウトドア愛好家など、より幅広いユーザー層にアピールすることに成功しています. ジムニーの歴史を紐解くと、常に時代のニーズに応え、進化を続けてきたことが分かります。ノマドの誕生は、その進化の新たな一歩と言えるでしょう。