SUUMOの「住みたい街ランキング」首都圏版において、8年連続で首位を獲得し続ける横浜。その不動の人気には、時代に合わせて絶えず進化しようとする都市の姿勢と、多様な魅力が凝縮されています。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は、横浜が「すでに人が集まる人気の街」であるとしつつも、駅周辺で次々と立ち上がる再開発計画が、その魅力に拍車をかけていると指摘します。では、なぜ横浜はこれほどまでに人々を惹きつけ、住みたい街として高い評価を得ているのでしょうか。
みなとみらい地区:都心機能と居住空間の融合
横浜の人気を語る上で欠かせないのが、横浜駅の南東に位置する「みなとみらい地区」です。1983年から埋め立てが開始されたこの地区は、当初は都心機能としての業務施設を中心とした開発が進められました。しかし、その後住宅開発も認められ、特に東京都心へ通勤する人々にとって魅力的な居住地として認知されるようになりました。高容積率を生かした超高層タワーマンションが多数建設され、2004年には東急東横線と横浜高速鉄道みなとみらい線の相互乗り入れが実現。これにより新駅が誕生し、みなとみらい地区の人気に火が付きました。オフィスやタワーマンションだけでなく、博物館、ミュージアム、ホテル、アリーナなどが整備され、利便性と快適な生活環境が両立している点も大きな魅力です。
横浜港に広がる超高層ビル群と近代的な都市の風景
多彩な魅力が隣接するエリア群
みなとみらい地区の周辺には、横浜ならではの歴史、文化、エンターテインメント、そして生活が息づく多様なエリアが隣接しています。みなとみらいからは元町や中華街へのアクセスが良好で、横浜らしい異国情緒やグルメを手軽に楽しめます。また、横浜の古くからの官庁街であり、クラシカルな洋館が残る関内、プロ野球・横浜DeNAベイスターズの本拠地である横浜スタジアム、そして横浜の海のイメージを象徴する山下公園も近く、多様なアクティビティが可能です。
さらに、ディープな横浜の魅力も忘れてはなりません。桜木町と関内の中間に位置する野毛は、大手チェーンが少ない個性的な居酒屋が軒を連ね、近年は若い世代にも人気を集めています。足を延ばせば、昭和の面影を残す日ノ出町や黄金町といった歓楽街も存在します。関内近辺には、馬車道や伊勢佐木町といった歴史ある商店街が広がり、日常の買い物から散策まで楽しめます。野毛山から久保山墓地にかけては、閑静な住宅街が広がり、落ち着いた住環境を求める人々に選ばれています。
横浜駅周辺の新たな顔
横浜駅を起点に目を向けると、各方面に異なる顔を持つエリアが広がっています。駅の北東部には、かつて港湾施設が多かったヨコハマポートサイド地区が、タワーマンション街へと大きく変貌を遂げています。東海道線と京浜急行線の2路線が利用できる交通利便性の高さが評価され、新たな居住エリアとして注目されています。鶴屋町近辺にはオフィスと歓楽街が混在し、東急東横線に沿って反町、白楽、妙蓮寺といった昔ながらの趣ある住宅街が続きます。
駅西側の北幸地区は古くからのビジネス街で、その北西には三ツ沢上町、下町といった高級住宅街が広がり、緑豊かな三ツ沢公園につながっています。公園内には陸上競技場や球技場などのスポーツ施設も充実しており、アクティブなライフスタイルを送りたい人々にも適しています。南幸地区は相鉄ムービルをはじめ、物販店や飲食店が軒を連ねる商業、文化、エンターテインメントの中心地です。
駅南側には、明治時代以降に日本のスポーツ発展に貢献した実業家、平沼亮三の屋敷があった平沼地区があります。ここでは相模鉄道の沿線を中心にマンション開発が活発に進められ、利便性の高い住宅地として発展を続けています。
SUUMO「首都圏住みたい街ランキング」TOP5の年次推移を示す棒グラフ。横浜が長年首位を維持している様子が分かる。
結論:横浜が持つ多様性、コンパクトさ、交通網の充実が人気の秘訣
このように、横浜は地区ごとに異なる多彩な顔を持ち合わせています。「住みたい街」に横浜を選ぶ人々は、こうした横浜が持つ多様なコンテンツに魅力を感じ、憧れを抱いているのでしょう。東京に比べてコンパクトな都市でありながら、特徴ある各エリア間の移動が充実した交通網によって円滑に行える点も、横浜が誇る大きな強みです。再開発による進化、歴史と現代が融合する街並み、そして利便性の高い交通網が一体となり、横浜はこれからも多くの人々にとって「住みたい街」であり続けることでしょう。
出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/d9a118e65cbce1071c44e09749112de55a6ab4f8