学習塾業界は、少子化の影響を受けながらも、中学受験ブームなどを背景に市場が過熱しています。一方で、競争激化による倒産も増加しており、フランチャイズ経営の現状と課題に迫ります。
学習塾倒産の現状:過去最多を記録
2024年は学習塾の倒産件数が53件と、2000年以降で最多を記録しました。負債総額も約117億円と、前年の9倍にものぼり、こちらも過去最多となっています。大学受験予備校「ニチガク」の突然の破産は、受験生に大きな衝撃を与え、学習塾業界の厳しい現実を浮き彫りにしました。
ニチガク破産を伝えるニュース記事
少子化に加え、コロナ禍によるオンライン学習の普及、個別指導塾の増加など、学習塾を取り巻く環境は大きく変化しています。生き残りをかけて、各塾は独自の特色を打ち出し、差別化を図ろうと必死です。
フランチャイズ展開の現状と課題
大手学習塾は、フランチャイズ展開を加速させています。開業資金は500万円前後、ロイヤリティは10%~30%が一般的です。「教育業界未経験歓迎」「低ロイヤリティ」といった謳い文句で、サラリーマンなど異業種からの参入を促しています。
学習塾のフランチャイズ募集のウェブサイト
埼玉県で個別指導塾を経営する中野光一さん(38歳、仮名)は、大手警備会社を退職後、フランチャイズに加盟しました。現在、約60名の生徒を抱え、経営は順調とのこと。しかし、年度末の生徒の退塾、新規生徒の獲得など、常に経営のプレッシャーを感じているといいます。
フランチャイズ経営のメリット・デメリット
フランチャイズ経営は、ブランド力やノウハウを活用できるメリットがある一方、ロイヤリティの負担、本部の制約など、デメリットも存在します。成功するためには、綿密な市場調査、資金計画、生徒募集戦略などが不可欠です。
専門家の意見
教育コンサルタントの山田花子さん(仮名)は、「フランチャイズを選ぶ際には、本部の経営理念、サポート体制、研修内容などをしっかりと確認することが重要です。また、地域特性を考慮した独自の戦略も必要です」と指摘しています。
学習塾業界の未来
学習塾業界は、少子化、競争激化、教育改革など、多くの課題に直面しています。生き残るためには、変化に対応した柔軟な経営戦略、質の高い教育サービスの提供が求められます。
フランチャイズ経営は、リスクとチャンスが表裏一体です。十分な準備と覚悟を持って臨むことが、成功への鍵となるでしょう。