日本銀行の新たな審議委員に、小枝淳子・早稲田大学教授が就任する見通しです。世間ではまだあまり知られていない小枝氏ですが、その経歴や経済学に対する見解は、今後の日本の金融政策を左右する重要な鍵となる可能性を秘めています。この記事では、小枝氏の経歴、専門分野、そして金融政策へのスタンスを探り、今後の日銀の動向を読み解く手がかりを探ります。
エリート街道を歩む異色の経歴
小枝氏は東京大学経済学部を卒業後、アメリカのUCLAで博士号を取得、IMFエコノミストを経て、東京大学大学院の特任講師を務めました。特筆すべきは、高校時代をイギリスの寄宿学校で過ごしたという異色の経歴です。この国際的な経験が、彼女の経済観にどのような影響を与えたのか、注目が集まります。
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植田・氷見野・高田氏との接点、そして黒田前総裁への異議
2010年に開催されたシンポジウムで、小枝氏はリーマンショック後の金融緩和策の出口戦略について議論を交わしました。驚くべきことに、このシンポジウムには、現日銀総裁の植田和男氏、副総裁の氷見野良三氏、そして審議委員の高田創氏も参加していました。当時若手研究者であった小枝氏が、錚々たるメンバーと共に議論の場に招かれた事実は、彼女の才能と将来性を示唆しています。
さらに、2018年には、日銀金融研究所研究員として発表した論文が大きな反響を呼びました。当時、黒田東彦前総裁が進めていた大規模金融緩和策に否定的な見解を示したこの論文は、黒田氏自身から「日銀の公式見解ではない」と反論されるほどのインパクトをもたらしました。
父親は日産“再建の影の立役者”
小枝氏の父親は、小枝至氏。日産自動車でカルロス・ゴーン氏と共に共同会長を務め、日産の再建に尽力した人物です。ゴーン氏が賞賛を浴びる一方で、コスト削減などの“汚れ役”を担ったのが小枝至氏だったと言われています。
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父・至氏は、娘の審議委員就任について、「新聞で知りました。学生の頃は数学が得意ではなく苦労していましたが、いつの間にか複雑な数式で論文を書くようになっていた。相当な努力をしたのでしょう」と語っています。
今後の金融政策、そして小枝氏の役割
日本経済は、物価上昇と景気後退の懸念に挟まれた難しい局面を迎えています。日銀の金融政策は、この難局を乗り越えるための重要な鍵となります。小枝氏の金融政策へのスタンス、そして日銀審議委員としての役割は、今後の日本経済の行方に大きな影響を与える可能性があります。果たして、小枝氏はどのような舵取りを行うのか、今後の動向に注目が集まります。