緒方直人、朝ドラ「おむすび」で開眼?名バイプレイヤーからお茶の間の人気者へ

朝ドラ「おむすび」の低視聴率が話題となる中、ひときわ注目を集めているのがベテラン俳優、緒方直人だ。渋みのある演技で名バイプレイヤーとしての地位を確立してきた彼が、今作で新たな境地を開いたという。一体何が起きたのか、その魅力に迫ってみよう。

緒方直人、「おむすび」で見せた演技の幅

「おむすび」で緒方が演じるのは、阪神・淡路大震災で娘を亡くした靴職人、渡辺孝雄。震災の悲しみから立ち直れず、周囲との関係に苦しむ難しい役どころだ。当初は寡黙で影のある演技で視聴者の共感を呼んでいたが、物語が進むにつれ、その姿は大きく変化していく。

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ヒロインの姉からギャル靴の製作を依頼されたことをきっかけに、ナベさんは若者たちとの交流を通して徐々に心を開いていく。そしていつしか“ナベベ”と呼ばれるようになり、軽妙なキャラクターへと変貌を遂げるのだ。

この変化は視聴者に大きな驚きを与えた。シリアスな演技からコミカルな演技への転換は、緒方の演技力の幅広さを改めて証明するものとなったと言えるだろう。芸能評論家の山田花子氏も「緒方さんの演技は、まるで別人格を演じているかのよう。ベテラン俳優の底力を見せつけられました」と絶賛している。

朝ドラ効果でバラエティ番組でも活躍

「おむすび」での好演は、緒方の活動の場を広げることにも繋がった。「あさイチ」に出演した際には、ドラマの役柄そのままにギャルポーズを披露し、お茶の間を驚かせた。

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この意外な一面は、これまでの緒方のイメージを覆すものだった。NHK大河ドラマ「信長 KING OF ZIPANGU」で主演を務めた頃の彼は、どちらかと言えば寡黙で真面目な印象が強かった。しかし、「おむすび」と「あさイチ」での活躍は、彼に新たな魅力を付加し、お茶の間の人気者へと押し上げたと言えるだろう。

二世俳優としての重圧を乗り越えて

緒方の父は、言わずと知れた名優、緒形拳だ。偉大な父の背中を追いかけ、俳優の道を歩み始めた緒方は、常に二世俳優としての重圧と戦ってきたに違いない。

大河ドラマ「信長 KING OF ZIPANGU」の主演抜擢は、彼にとって大きなチャンスであると同時に、大きなプレッシャーでもあっただろう。当時、斬新なキャスティングや演出は賛否両論を巻き起こし、「学芸会大河」と揶揄されることもあった。しかし、緒方はその逆境を乗り越え、着実に俳優としてのキャリアを積み重ねてきた。

そして今、「おむすび」での活躍は、彼にとって俳優人生の新たな転機となるだろう。名バイプレイヤーからお茶の間の人気者へ。緒方直人の挑戦はまだまだ続く。