武漢、コロナ発生から5年:栄光と影、そして未来への不安

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が始まってから5年。その震源地となった中国・武漢は、今、どのような状況にあるのでしょうか。感染症克服の象徴として建設された巨大病院跡地、そして初期の感染拡大と関連付けられた市場の現状など、武漢の「今」をjp24h.comが独自取材を通して紐解きます。

コロナ克服の象徴、火神山医院の現在

武漢市中心部から西へ約40キロ。かつて新型コロナウイルス感染症の医療の最前線として活躍した「火神山医院」は、今、静かに佇んでいます。約7万平方メートルの広大な敷地に、東京ドームよりやや小さい約3.4万平方メートルの巨大なプレハブ病棟が建っていました。

武漢のコロナ専用臨時病院跡地武漢のコロナ専用臨時病院跡地

「天から神の兵士が降り、1400人超の白衣の天使が一線で戦った」—当時の看板には、医療従事者たちの奮闘を讃える言葉が刻まれていました。しかし、現在の火神山医院跡地は、その栄光とは裏腹に、廃墟のような様相を呈しています。さび付いた鉄格子、開きっぱなしのドア、そして残された医療設備。かつての活気は失われ、静寂だけが支配しています。

火神山医院跡地のプレハブ病棟に残された医療設備火神山医院跡地のプレハブ病棟に残された医療設備

看板には「収容した3059人のうち96.8%が回復し退院した」と記されています。これは確かに大きな成果ですが、現在の姿からは、当時の緊迫感や医療従事者の献身的な努力を想像することは難しいでしょう。

華南海鮮卸売市場:静寂に包まれた「震源地」

初期の感染拡大と関連付けられた「華南海鮮卸売市場」も、静寂に包まれています。かつては活気に満ちた市場でしたが、現在はフェンスで囲まれ、人影はありません。周辺住民によれば、「色々な食材が揃っている普段使いの市場だった」とのこと。

フェンスで囲われた華南海鮮卸売市場フェンスで囲われた華南海鮮卸売市場

市場内には資材などが散乱し、当時の混乱を物語っているかのようです。この市場は、新型コロナウイルス感染症の起源解明においても重要な場所とされています。

WHO調査団が訪れた華南海鮮卸売市場WHO調査団が訪れた華南海鮮卸売市場

2021年1月には、WHOの国際調査団が市場を訪問し、調査を行いました。しかし、ウイルスの起源については未だ明確な結論は出ていません。

武漢市民の思い、そして未来への不安

中国政府は、強力なロックダウンやデジタル監視技術を駆使し、新型コロナウイルス感染症の封じ込めに成功したと主張しています。しかし、武漢市民の中には、経済の低迷や将来への不安を抱える人も少なくありません。

コロナで亡くなった人の墓石が並ぶ武漢市内の墓地コロナで亡くなった人の墓石が並ぶ武漢市内の墓地

感染症の発生から5年。武漢は、克服の象徴と影、そして未来への不安を抱えながら、新たな一歩を踏み出そうとしています。

武漢の再生、そして世界の教訓

武漢の現状は、感染症克服の難しさ、そしてその後の社会経済への影響の大きさを改めて示しています。世界は、武漢の経験から何を学び、どのように未来への備えを強化していくべきなのでしょうか。 jp24h.comは、今後も武漢の状況を注視し、最新情報をお届けしていきます。