1月3日、埼玉県川口市で清掃工場の火災が発生し、焼却機能が麻痺してごみの受け入れができなくなり、集積所にごみが山積みされるという事態が生じた。正月明け、というごみ量が一番多くなる時期であり、事態は深刻だった。
【写真】ごみピット内で火災があった朝日環境センター。上方の窓の周りが焦げているのが確認できる
筆者は先日、川口市に足を運び、現状を確認してきた。本稿では清掃工場の火災の状況を伝えるとともに、このような事態が頻発しないよう今後の私たちの排出行為のあり方について述べてみたい。
■清掃工場で焼却処理を待つごみから出火
2025年1月3日21時頃、埼玉県川口市の「朝日環境センター」で「ごみピット(収集してきたごみを一時的にためておく場所)」から火災が発生した。焼却炉の運転作業員がモニターでごみピット内の火災を発見し、放水銃で消火活動を行った。しかし火の勢いは収まらず、119番通報で消防車延べ29台が出動して消火活動を行う事態となった。
正月明けには例年、ごみが大量に搬入される。そのため、あらかじめ収集車からごみピットへスムーズにごみを投入できるよう、投入口付近のピット内のごみをえぐり取るように掘り下げていた。
そのためピットのごみ山に段差ができ、火はその下側から上へと燃え上がっていったという。火は約27時間燃え続け、1月4日23時頃に鎮火した。
【写真】積み上がった「ごみの山」など影響が広がった(8枚)
消防による調査が行われたが、発火の原因は特定されず不明だった。考えられる原因として、リチウムイオン電池や自然発火するようなオイルが想定された。最後にごみの搬入が行われたのは12月31日であるため、その際に発火の原因物が入ったと推察される。
火災はごみピット内のみで、焼却プラントには被害が及ばなかった。しかし、ごみピットから焼却プラントにごみを投入する「ごみクレーン」2台や電気ケーブル等が焼け、作動しなくなった。そのためピット内のごみの攪拌(かくはん)や焼却炉への投入ができなくなった。
■ごみ収集ができなくなり市民生活に打撃
朝日環境センターが使えなくなったため、川口市は焼却処理を市内にあるもう一つのごみ焼却施設「戸塚環境センター」に集中させ、1月6日から年始のごみ収集を行った。