マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナンバーカード保険証」。その登録解除申請が5.8万件を超えた一方で、新規登録は87万件増加しました。本記事では、この現状について詳しく解説し、今後の動向を探ります。
登録解除申請の増加と背景
厚生労働省の発表によると、2025年1月におけるマイナンバーカード保険証の登録解除申請は1万3212件。累計では5万8426件に達しています。解除申請は2024年10月下旬から開始されましたが、ここにきて増加傾向にあると言えるでしょう。
マイナ保険証利用促進のポスター
解除の背景には、システムトラブルや個人情報保護への懸念などが考えられます。例えば、別人の医療情報が表示されるといったトラブルが報告されており、不安を感じて解除する人がいるのも事実です。 また、「医療経済ジャーナル」編集長の田中健太郎氏(仮名)は、「デジタル化への抵抗感や、従来の健康保険証への愛着を持つ人も一定数いる」と指摘しています。
新規登録の増加と健康保険証の新規発行停止
一方で、新規登録は87万3386件増加し、累計登録数は8153万414件となりました。この増加の背景には、健康保険証の新規発行が2024年12月2日に停止されたことが大きく影響しています。健康保険証を新たに取得するには、マイナンバーカードを申請する必要があるため、新規登録が増加していると考えられます。
登録解除の手続きと資格確認書
マイナンバーカード保険証の登録解除は、加入している健康保険組合または国民健康保険を管轄する自治体で行うことができます。原則として所定の申請書を提出する必要がありますが、マイナポータルからオンラインで受け付ける自治体も増えています。解除申請が受理されると、翌月末に反映されます。登録解除後は、資格確認書を受け取ることが可能です。
資格確認書のメリットとデメリット
資格確認書は、マイナンバーカードを持たない、またはマイナンバーカード保険証の利用を停止している人が医療機関を受診する際に必要な書類です。健康保険証と同様に、医療機関の窓口で提示することで保険診療を受けることができます。しかし、資格確認書の有効期限は発行日から6ヶ月であり、定期的に更新する必要があります。
今後の展望
マイナンバーカード保険証をめぐる状況は、登録解除の増加と新規登録の増加という相反する動きを見せています。政府は、マイナンバーカードの普及を推進する一方で、システムの安定化や個人情報保護の徹底など、国民の不安を解消するための対策を強化していく必要があるでしょう。 専門家の間では、今後の登録解除申請数の推移が、マイナンバーカード保険証制度の行方を左右する重要な指標になるとの見方が強まっています。