元放送作家の鈴木おさむ氏が14日、関西テレビ『ドっとコネクト』に出演し、親交の深い元横綱・白鵬翔氏の相撲協会退職についてコメントした。9日に行われた白鵬氏の退職会見を受け、鈴木氏は自身の心境を吐露。昨年2月の弟子の暴力問題発覚後、白鵬氏自身が監督責任を問われ、宮城野部屋が閉鎖となり、弟子全員が伊勢ケ浜部屋へ転籍した経緯が紹介された。白鵬氏が退職理由として、部屋再開の不透明さを挙げたことなどが伝えられている。
鈴木おさむ氏、白鵬氏の相撲協会退職について語る
鈴木おさむ氏が語る白鵬氏の決断と背景
鈴木氏は、3月の大阪場所後に白鵬氏と親しい人物から「退職の気持ちが固まっている」と連絡を受けたことを明かした。自身も3月末に電話で話した際、その決意の強さを感じ、非常に残念で寂しい思いをしたと語った。
白鵬氏からは弟子の面倒を見てほしいと頼まれており、実際に弟子たちと食事に行くなどしていたという。鈴木氏は「彼らはいつか(宮城野部屋に)戻れると思って一緒にいる。白鵬さんのスカウトで角界に入った彼らの親がいなくなってしまう状況で、残される弟子の気持ちを思った」と吐露。「そう決断せざるを得なくなるまで追い込まれた白鵬氏と、その状況を作った相撲協会も含め、そこが非常にかわいそう」と心中を述べた。また、過去の例として千代の富士が協会に残っても理事長になれず、貴乃花氏も退職したことに触れ、「大スター横綱が(協会で)…という感じだなと思ってしまう」と話した。
現役時代の評価と「ブーメラン」論
MCから「追い込まれた原因は白鵬氏自身にもあるのでは?」と指摘されると、鈴木氏は「確かに現役時代にスタンドプレーや様々な行為が注意された。彼は本当に相撲が好きで、勝ちにこだわったが、そこが横綱の品格という問題でたたかれた部分がある」と認めた。協会側も、横綱時代は言いたくても言えなかった部分があっただろうと推測。しかし、相撲界のすごいところは、親方になれば元十両も元横綱もフラットになる点だとし、「選挙の時も同じ1票。そこが嫉妬している人もいるだろうし、現役時代に良かれと思ってやったことが、困らせた人もいっぱいいるわけですよ。そういう思いがブーメランのように返ってくることもあるのかなと正直思う」と複雑な心境を語った。
後進育成への貢献と「白鵬杯」
後進の育成に対する白鵬氏の思いは本物だと強調。12年来の付き合いだという鈴木氏は、知り合った当初、国技館が半分も埋まっていなかった頃から「相撲を盛り上げるためなら何でもやる」と大食い番組に出たりしていたエピソードを披露した。「白鵬杯」についてもプロデューサーを務めていた経験から、全国から来る子供たちの交通費・宿泊費無料、両国国技館で相撲が取れるという大会がいかに画期的だったかを説明。団体戦の盛り上がりなど、「相撲の新たな可能性を見せてくれていた」と白鵬氏の貢献を称賛した。鈴木氏が読み上げた賞状の入賞者から、多くの力士が誕生していることも明かされた。
元横綱白鵬氏と他の力士、その存在感
弟子のための決断か:伊勢ケ浜親方との関係
協会残留の場合、後輩である元横綱・照ノ富士の新伊勢ケ浜親方が自身の上の立場になることが一因との噂について、本人たちは否定しているとしつつも、鈴木氏は「普通で考えたら、采配する方が気遣えよ」と率直な見解を示した。そして、「弟子は伊勢ケ浜に残る。(白鵬氏は)荒波を立てないで出るしかない。そう言うしかない」と、弟子の立場を案じての決断だった可能性を示唆した。部屋の再開時期が見えなかったことを理由に挙げた点については、「心が折れたのは本当だと思います」とし、「自分の相撲への愛を消したくないから、結果こうなっちゃったのかなと思う」と見解を述べた。
元横綱白鵬氏の相撲協会退職は、弟子の問題に端を発した部屋閉鎖と再開の不透明さという背景があり、長年の功労者である白鵬氏を追い詰めた形となった。親交の深い鈴木おさむ氏の言葉からは、弟子の行く末を案じる白鵬氏の心情や、協会内での複雑な立場、そして何よりも相撲への深い愛情が今回の決断に繋がったであろうことが読み取れる。角界に多大な貢献をしてきた大横綱の退職は、相撲界にとって大きな出来事であり、今後の影響が注目される。





