【02月20日 KOREA WAVE】韓国の一部保護者の間で「7歳入試競争」と呼ばれる小学校入学前の過酷な試験が流行している。5〜6歳の子どもたちが名門学習塾に入るために受けなければならない試験問題が公開され、その難易度に驚きの声が上がった。
14日に放送されたKBS1のドキュメンタリー番組「追跡60分」は「7歳入試競争は誰のための試験か?」というテーマで韓国の過熱する教育事情を追った。
番組によると、週末の朝、ソウル市江南区大峙洞(カンナムグ・テチドン)にある有名語学塾の前には、入試を受ける子どもと保護者が長蛇の列を作っていた。試験を受けるのは、翌年に小学校へ入学する7歳の子どもたちだ。中には泣きながら試験会場へ向かう子もいた。
わずか4日間で、この学習塾の入試を受けた子どもの数は1200人に達した。孫を塾へ連れてきたという女性は「7歳の孫が初めての試験で緊張しているが、うまくできるか心配だ」と話した。また、別の保護者たちは「もうこんなこと続けられない、鬱になりそう」「でも、予約してしまったから試験は受けないと……。どこかには受かるはず」とため息交じりに語った。
◇入試問題はまるで高校レベル
ソウル近郊・城南市(ソンナムシ)盆唐(ブンダン)にある小学校専門の英語塾でも、過酷な入学試験が実施されていた。この塾の関係者によると、試験は3段階に分かれ、米国のカリキュラムをもとにしたリーディング試験、語彙・文法・エッセイの記述試験、さらに講師との英語インタビューがあるという。
韓国の幼児向け英語講師は「膨大な準備量と厳しいプロセスを考えれば、『7歳入試競争』という表現は誇張ではない。暗記すべき規則やフォーマットが多く、子どもたちは非常に苦しんでいる」と語った。
番組では、ある学習塾の「7歳入試競争」の模擬試験問題を公開した。その問題は、A4用紙1ページ分の長文読解問題が複数出題され、計30問以上の問題に答える形式だった。
この問題を見た29年のキャリアを持つ英語教師は「問題の形式は韓国の大学入試センター試験と同じだ。5歳児に推論を求めるような内容で、これは知的虐待に相当する」と指摘した。
また、中学校で20年のキャリアを持つ英語教師も「小学校入学前の子どもが解くには難しすぎる。これは高校1年生向けの模試の長文読解問題を、小学1年生に解かせるようなものだ」と批判した。
実際、一部の子どもたちは有名塾の入試に合格するために家庭教師をつけたり、「サブ塾」と呼ばれる補助的な塾に通ったりしていた。まさに、学習塾に入るための「学習塾」が存在するという状態だ。
◇終わらない競争
近年、学習塾に通う子どもの年齢はますます低年齢化している。さらに、「7歳入試競争」をクリアした後も競争は終わらない。保護者の間では、「小学2〜3年生の時点で、江南区大峙洞の有名数学塾に入ることが成功の公式」とされており、その塾には定員の5倍を超える応募者が殺到している。
この数学塾の入試問題をソウル大学の学生が解いたところ、「小学生向けとは信じられない」「いくつかの問題は答えに自信が持てないほど難しい」と驚きを隠せなかった。
幼児期から過度な学習を強いられることが、子どもたちの脳の発達に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。
ソウル大学小児精神科のキム・ブンニョン教授は「特に4歳から7歳の時期は、前頭葉の特定の領域が発達する重要な時期。この段階で過剰な学習負担をかけると、子どもが抑うつや不安を感じやすくなり、逆に攻撃性や反抗的な態度が出る可能性が高くなる」と警告した。
(c)KOREA WAVE/AFPBB News
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