ロシアのプーチン大統領は11日、自国が侵略を続けるウクライナに対し、停戦に向けた直接協議を15日にトルコのイスタンブールで行うことを一方的に提案した。停戦交渉の停滞にいらだつ米国に歩み寄る姿勢を見せ、交渉を自国ペースで進める思惑があるとみられる。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、提案に応じトルコ入りする考えを示した。
プーチン氏は11日、露大統領府で行った記者発表で、ロシアとウクライナが2022年にイスタンブールで行った協議に言及し、「前提条件なしで、中断された交渉を再開することを提案する」と述べた。22年の協議では、ウクライナが保有できる軍隊の規模の制限などを巡り意見が折り合わず、合意できなかったとされる。
今回の協議目的について、プーチン氏は「衝突の根本原因を排除し、長期の持続的な平和を確立するためだ」と説明した。ロシア側が「根本原因」だと主張するウクライナ政府の親欧米路線と軍備強化の放棄や撤回を要求することを示唆した。
プーチン氏は11日、トルコのタイップ・エルドアン大統領と電話会談を行った。トルコ大統領府はイスタンブールでの協議再開を歓迎すると発表した。
ゼレンスキー氏は11日、「我々はどんな形式でも交渉することに問題はない」とX(旧ツイッター)に投稿し、プーチン氏の提案に応じる意向を示した。「私は15日にトルコにいる。プーチンも来ることを期待している」と首脳会談の実施を持ちかけた。ウクライナと英仏独などがロシアに要求している12日からの30日間の無条件停戦についても応じるよう露側に求めた。
これに先立ち、米国のトランプ大統領は11日、プーチン氏の提案について、「ウクライナはただちに同意すべきだ」と自身のSNSに投稿した。
トランプ氏は、「ウクライナは少なくともディール(取引)が可能かどうか判断できる」と指摘。「不可能であれば、欧州と米国は現状を把握し、それに応じて進むことができる」と述べた。同日の別の投稿でも「ロシアとウクライナにとって素晴らしい日となる可能性がある。私は両者と協力し続ける」と歓迎した。