【ランボー】なぜ日本で大ヒット?アメリカで不評だった理由とは?

ハリウッド映画の中でも、日本人の心に深く刻まれた名作は数多く存在します。しかし、中には本国アメリカでは予想外に評価が低く、興行成績も振るわなかった作品も。今回は、そんな意外な作品の中から、アメリカでコケたにも関わらず日本で大ヒットを記録した『ランボー』の魅力に迫ります。

ランボー:孤独な兵士の物語

1982年に公開された『ランボー』は、ベトナム戦争帰還兵ジョン・ランボーの苦悩と戦いを描いたアクション映画です。シルベスター・スタローンが主演・脚本を務め、後にシリーズ化されるほどの人気を博しました。

物語のあらすじ

物語は、ランボーが戦友を訪ねて小さな町を訪れるところから始まります。しかし、よそ者として扱われ、保安官に不当な扱いを受けたことで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむランボーは過去のトラウマが蘇り、ついには山へと逃亡。警察との壮絶な戦いを繰り広げることになります。

ランボーが森の中で戦うシーンランボーが森の中で戦うシーン

アメリカでの反応:ベトナム戦争の傷跡

皮肉なことに、ベトナム戦争後のアメリカ社会では、帰還兵に対する偏見や無理解が根強く残っていました。そのため、母国で警察と戦うランボーの姿は、共感を得るどころか反感を買ってしまう結果に。

映画評論家の佐藤一郎氏(仮名)は、「当時のアメリカ社会は、ベトナム戦争の敗北感や帰還兵問題という暗い影に覆われていた。ランボーの行動は、そうした社会の傷口に触れる行為だった」と分析しています。

日本での大ヒット:共感とカタルシス

一方、日本ではランボーの孤独な戦いが多くの観客の心を掴みました。異質な存在として疎外されながらも、自らの信念を貫き通すランボーの姿に、共感やカタルシスを感じた人が多かったのでしょう。

映画史研究家の田中花子氏(仮名)は、「日本の観客は、ランボーを反体制のヒーローとしてではなく、傷ついた魂を持つ人間として捉えた。彼の孤独と苦悩は、日本の文化にも通じる普遍的なテーマだった」と指摘しています。

ランボー:アクションスターとしてのスタローンの確立

スタローンは、この作品でほぼノースタントのアクションに挑戦し、その迫真の演技が話題となりました。多少の批判はあったものの、結果的に『ランボー』シリーズは世界的な大ヒットとなり、スタローンはアクションスターとしての地位を不動のものにしました。

シリーズ化と変化:海外へ舞台を移す

興味深いのは、続編では舞台が海外に移り、ランボーの怒りの矛先も変わっていく点です。これは、第1作でのアメリカの反応を踏まえた戦略的な変更だったのかもしれません。

ランボーのポスターランボーのポスター

まとめ:時代と文化の違いが反映された作品

『ランボー』は、時代背景や文化の違いによって、アメリカと日本では全く異なる受け止められ方をした興味深い作品です。ランボーの孤独な戦いは、私たちに社会の矛盾や人間の弱さ、そして強さを問いかける、普遍的なメッセージを投げかけていると言えるでしょう。