マニラ首都圏にあるアディションヒルズ村では、デング熱対策として、なんと蚊に懸賞金をかけ話題となっています。今回は、この斬新な取り組みと、その背景にあるフィリピンのデング熱流行の深刻さについて詳しく見ていきましょう。
デング熱感染拡大の危機に瀕するフィリピン
フィリピンでは、デング熱の感染が深刻な問題となっています。2023年には、感染者数16万7355人、死者数575人を記録し、西太平洋地域で最もデング熱の影響を受けた国となりました(WHO)。今年も既に2月1日時点で2万8200人の感染者が確認されており、前年同期比で40%増という alarming な数字が報告されています。これを受け、複数の都市でデング熱流行が宣言される事態となっています。
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蚊5匹で1ペソ!アディションヒルズ村の挑戦
こうした状況の中、アディションヒルズ村は独自の対策に乗り出しました。蚊5匹につき1ペソ(約2.6円)の懸賞金を出すという、前代未聞の試みです。生死を問わず、村人たちは容器に集めた蚊を役場に持ち込み、懸賞金と交換しています。
カルリト・セルナル村長は、この取り組みが地域の清掃活動と相まって、デング熱拡散抑制に「大きな効果」をもたらすと期待を寄せています。
専門家の反応は?
一方、保健当局や専門家からは懐疑的な声も上がっています。フィリピン保健省の報道官、アルベルト・ドミンゴ医師は、地域社会が独自の取り組みを行う前に保健当局と相談することの重要性を強調。デング熱対策の基本は「周囲の清掃と、蚊の発生源となる水たまりをなくすこと」だと述べ、住民には虫除けや長袖の着用を呼びかけています。
公衆衛生専門家のアンソニー・レチョン氏も、アディションヒルズ村の試みは「効果が薄い」と指摘。懸賞金を目当てに蚊を繁殖させる人が現れる可能性もあると懸念を示しています。
デング熱とは?その症状と予防策
デング熱は、蚊を媒介して感染するウイルス性感染症です。高熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、発疹などの症状が現れ、重症化すると死に至るケースもあります。予防には、蚊に刺されないようにすることが重要です。虫除けスプレーの使用、長袖長ズボンの着用、蚊帳の使用などが有効です。
家庭でできるデング熱対策
- 庭やベランダに水をためたまま放置しない
- 植木鉢の受け皿の水を定期的に捨てる
- 雨どいなどの詰まりを解消する
- 排水溝を清潔に保つ
これらの対策を徹底することで、蚊の発生を抑え、デング熱感染のリスクを軽減することができます。
まとめ:デング熱対策、多角的なアプローチが必要
アディションヒルズ村の取り組みは、デング熱に対する意識向上という点では一定の効果があるかもしれません。しかし、専門家の意見にもあるように、根本的な解決には、蚊の発生源を断つ地道な努力が不可欠です。行政、専門家、そして地域住民が一体となって、多角的なアプローチでデング熱対策に取り組むことが重要です。