北朝鮮観光再開の兆し? 米国人映画制作者がパンデミック後初の入国

北朝鮮の観光再開が少しずつ始まっているのでしょうか? 新型コロナウイルスパンデミック以降、初めて米国人として北朝鮮に入国したジャスティン・マーテル氏の体験談を通して、現在の北朝鮮の様子を覗いてみましょう。マーテル氏はドキュメンタリー映画制作者であり、独特でアクセスしづらい場所を専門的に取材しています。彼の貴重な体験は、私たちに多くの示唆を与えてくれます。

厳戒態勢続く北朝鮮、観光名所へのアクセスは依然制限

北朝鮮では、依然としてマスク着用や検温などの厳格な感染対策が実施されています。地元の市場や観光地への立ち入りは制限されており、新型コロナウイルスに対する恐怖心が根強く残っているようです。マーテル氏によると、新型コロナウイルスは韓国から送られた風船によって持ち込まれたという噂も耳にしたとのこと。現地の人々の不安な心情が伺えます。

北朝鮮の万寿台大記念碑北朝鮮の万寿台大記念碑

映画産業活性化の動き、観光客向け映画鑑賞も視野に

北朝鮮では近年、映画産業の活性化が進められています。朝鮮戦争を題材にした新作映画などが上映されており、今後のツアーには地元映画館での映画鑑賞が追加される可能性もあるとのこと。観光客誘致に向けた新たな試みと言えるでしょう。

ロシア人観光客は受け入れも、西側諸国からの訪問は未だ制限

北朝鮮とロシアの関係強化を背景に、昨年からロシア人観光客の受け入れが再開されています。しかし、西側諸国からの訪問は依然として制限されています。米国人は、2017年に発生したオットー・ワームビア氏の事件以降、入国が禁止されています。

米国人入国禁止を乗り越え、再び北朝鮮の地へ

11回もの北朝鮮訪問経験を持つマーテル氏は、米国務省の渡航禁止令発令時にも北朝鮮に滞在していました。その後、再び北朝鮮を訪れるため、セントクリストファー・ネビスの市民権を取得。二重国籍を持つことで、合法的に北朝鮮へ再入国を果たしました。

ウクライナ紛争への言及は避けられる傾向

北朝鮮のガイドたちは、米国の政治状況には言及するものの、ウクライナ紛争については沈黙を守る傾向があるようです。英国の旅行会社コリョツアーズの北朝鮮ツアー責任者、ゲルグ・バツィ氏も、この問題のデリケートさを指摘しています。

変化する写真撮影ルール、緩和された一面も

かつて厳格だった写真撮影ルールは、近年大幅に緩和されたようです。ガイドを撮影した際に注意を受けたケースもあったようですが、全体的には以前よりも自由度が増していると言えるでしょう。

米国人への警戒心、微かな緊張感も

マーテル氏は、セントクリストファー・ネビスのパスポートを所持していても、米国人であることに対する警戒心を感じた場面もあったようです。撮影した動画の削除を求められたり、子どもたちがマーテル氏を見て逃げたりする場面もあったとのこと。

人と人との触れ合い、温かい交流も

一方で、マーテル氏は現地の学校で子どもたちと交流する機会もありました。子どもたちは政治には無関心で、音楽やスポーツ、米国の生活について質問するなど、純粋な好奇心でマーテル氏との交流を楽しんでいたようです。

まとめ:北朝鮮観光、新たな局面へ

北朝鮮は依然として閉鎖的な国ですが、観光再開に向けた動きや、人々との温かい交流など、新たな局面を迎えていると言えるでしょう。今後の動向に注目が集まります。