韓国製K2戦車、ポーランドとの第2次輸出契約が事実上締結――K-防衛産業史上最大の単一契約

韓国の主要重工業企業である現代ロテムは、ポーランド国防省との間で韓国製K2戦車の第2次輸出契約を事実上締結しました。この契約は、最大9兆ウォン(約9540億円)規模と推定されており、韓国の防衛産業「K-防産」の歴史において単一の輸出契約としては過去最大となります。今回の合意は、現地生産を含む複雑な条件交渉を経て実現し、K-防産が欧州市場へ進出する上での重要な転換点と評価されています。

契約の詳細とこれまでの経緯

ポーランドと現代ロテムは2022年に、K2戦車1000両の輸出に関する基本契約を締結しました。これに基づき、最初の契約として180両を先行納入する約4兆5000億ウォン(約4770億円)規模の第1次契約が結ばれました。現在、この第1次契約に基づき、韓国国内で生産されたK2戦車がポーランドへ供給されており、2026年までに納品が完了する予定です。

今回の第2次契約は、残りの数量分を対象とする実行契約であり、契約台数は第1次契約と同程度の180両が見込まれています。しかし、この契約には現地生産、技術移転、維持整備(MRO)などが含まれるため、契約総額は第1次契約の約2倍にあたる最大9兆ウォンにまで拡大すると推定されています。

今回の契約でポーランドに導入されるK2戦車は「K2PL」と呼ばれるポーランド仕様であり、現地での生産体制が構築される点が大きな特徴です。部品組立生産(SDK)方式が導入される予定で、現代ロテムはすでに現地生産ラインの構築に向けた準備を進めています。

欧州市場への進出と現地生産の重要性

欧州連合(EU)は2025年3月、域内での武器調達比率を現在の約20%から2035年までに65%へ引き上げる方針を発表しており、欧州域内での防衛装備の現地調達を求める圧力が高まっています。今回のK2戦車第2次契約は、K-防産がこうした欧州の保護主義的な傾向を乗り越え、地域に密着した輸出モデルを確立した事例と言えます。

全北大学防衛産業融合課程のチャン・ウォンジュン教授は、K-防産の強みについて「どの国も自国の防衛力強化を望んでおり、K-防産は納期の速さとコストパフォーマンスに加え、現地生産という新たな武器を手に入れた」と分析しています。

ポーランドで訓練中の韓国製K2戦車ポーランドで訓練中の韓国製K2戦車

今後の展望

今回の契約はポーランドだけでなく、ルーマニアやチェコなど近隣の欧州諸国への輸出拡大にも弾みをつける可能性があります。業界関係者は「今回のように複雑な条件下でも契約を成功させたことは、K-防産が単なる兵器輸出業者から戦略的なパートナーへと進化していることを示している」と指摘しています。

参考文献