【訃報】鉄道ライター横見浩彦氏、63歳で逝去。生涯を鉄道に捧げた「乗り鉄」の巨星、その軌跡を辿る

日本を代表する鉄道ライター、横見浩彦氏が2025年1月19日、急性心不全のため63歳でこの世を去りました。小学館サンデーGX編集部が2月21日に公式Xで訃報を発表。突然の別れに、鉄道ファンのみならず、多くの人々が深い悲しみに包まれています。この記事では、生涯を鉄道に捧げた横見氏の功績と、その魅力に迫ります。

JR全駅制覇から「鉄子の旅」へ:横見浩彦氏の鉄道人生

1961年神奈川県生まれの横見氏は、幼い頃から鉄道に魅せられ、その情熱を生涯の仕事へと昇華させました。1995年にはJR全4636駅を踏破するという偉業を達成。その経験を綴った著書『乗った降りたJR四六〇〇駅』は、多くの鉄道ファンに感銘を与えました。

2001年からは、漫画『鉄子の旅』(週刊ビッグコミックスピリッツ増刊IKKI連載)に旅の案内人として登場。独特のキャラクターと鉄道愛溢れる語り口が人気を博し、2007年にはアニメ化もされました。横見氏の存在は、「鉄ちゃん」「鉄ヲタ」といった言葉が広く認知されるきっかけとなり、鉄道ファンの地位向上にも大きく貢献しました。

横見浩彦氏横見浩彦氏

メディアへの進出と鉄道の魅力発信:お茶の間の人気者に

『鉄子の旅』のヒットを契機に、横見氏はテレビ、雑誌、イベントなど様々なメディアに登場。鉄道の魅力を分かりやすく、そして熱く語り続けました。『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)、ドラマ『特急田中3号』(TBS系)、『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』(テレビ東京系)など、人気番組への出演も多数。特に「あなたはナゼ秘境駅へ来たんですか?」のコーナーでは、全国各地の秘境駅を紹介し、鉄道ファンならずとも多くの視聴者を魅了しました。

ある雑誌記者は、横見氏について「鉄道のことになるとハイテンションで語り、無理な要望にも応えてくれる、まさに『鉄子の旅』そのままの人物だった」と振り返ります。横浜市の自宅には40年分の時刻表が保管されており、床が抜けるのではないかと心配になったというエピソードも。鉄道への情熱は、まさに桁違いでした。

病魔との闘い、そして最期の旅路

晩年は、持病の起立性低血圧や度重なる手術、怪我に悩まされながらも、鉄道への情熱は衰えることはありませんでした。2022年4月にはX(旧Twitter)で体調不良を報告するも、その後も乗り鉄を続け、その姿をファンに届けていました。

横見浩彦氏と時刻表横見浩彦氏と時刻表

横見氏が息を引き取ったのは、2025年1月19日。奇しくも大阪・関西万博の最寄り駅となる大阪メトロ夢洲駅の開業日でした。最期まで鉄道と共に歩んだ人生。きっと夢洲駅にも、想いを馳せていたことでしょう。

横見浩彦氏の遺志を継いで:鉄道の未来へ

横見氏の訃報を受け、SNS上には多くの追悼メッセージが寄せられています。「鉄子の旅のおかげで鉄道が好きになった」「横見さんの鉄道愛に感銘を受けた」など、その功績を称える声は後を絶ちません。横見氏の遺志を継ぎ、これからも鉄道の魅力を多くの人々に伝えていくことが、私たちにできる最大の弔いとなるでしょう。