【ワシントン=黒瀬悦成】米軍や連邦政府機関の施設で、最近の法律により使用が禁止された中国製の監視カメラ2700台以上が設置されたままになっているとの米紙報道があり、与党・共和党のルビオ上院議員は6日、エスパー国防長官に設置の実態や今後の対応などに関する説明を求める書簡を送付した。
2019会計年度(18年10月~19年9月)の国防権限法は、中国政府が監視カメラのネットワークに侵入してスパイ活動を行うのを警戒し、防犯カメラ大手「ハイクビジョン」「ダーファ」などの中国企業が製造した監視カメラおよび関連機器を米政府が購入するのを禁止する条項が盛り込まれている。
同法は、カメラのリース契約を更新することも禁じているが、カメラの撤去には費用や手間がかかることから、設置済みのカメラの撤去は義務づけていない。
10月19日の米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、このため米軍や政府機関が中国製カメラをそのまま使い続けているほか、米政府系の調達網では依然、中国製監視カメラが出回っているとされ、禁止条項は骨抜き状態になっているという。
米商務省は先月、ハイクビジョンとダーファについて、中国の新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒少数民族弾圧に関与したとして、米政府の特別な許可がない限り米企業との取引を事実上禁止するブラックリストに掲載している。