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地球温暖化の防止を目指す新たな国際枠組み、「パリ協定」の運用が来年1月から始まる。
その開始を目前にして米国のトランプ政権がパリ協定からの離脱を正式に国連へ通告した。
米国の離脱意向は、以前から表明されていたが、今回の通告によって1年後の正式離脱が確実になった。
世界第2の温室効果ガス(GHG)排出国であり、代表的な先進国・米国の離脱は残念だ。来年の大統領選挙に向けて、石炭業界などからの支持拡大を狙った判断であるならなおさらである。
パリ協定は、産業革命前から今世紀末までの気温上昇幅を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指している。
そのために先進国と途上国の区別を取り払い、参加各国がそれぞれの国情に合わせた自主目標を立て、二酸化炭素に代表されるGHGの排出削減に取り組むことになっている。
だが、これまでに各国が表明した削減量を合わせても2度目標には届きそうにない。そこで9月末には、国連本部で削減目標の上積みを目指した「気候行動サミット」が開催されたのだ。
スウェーデンの少女も危機を訴えたが、2050年までにGHG排出を実質ゼロとする目標を公表したのは、パリ協定に参加する半数以下の77カ国にとどまった。
この難局での米国の離脱通告を受けて菅義偉官房長官は「わが国はパリ協定を着実に実施していく」と述べ、小泉進次郎環境相は「米国が脱退したとしてもパリ協定はなくならない」と語った。
その意気や良しである。だが、東京電力の原発事故後、日本では火力発電への依存度が高まり、今のままでは世界に約束した「30年に26%削減」の自主目標の達成が危ぶまれる状況だ。
米国はパリ協定を離脱してもシェールガスの利用拡大や原子力発電の堅持によって二酸化炭素の排出削減に向かうとみられているのと大きな違いだ。
日本の原発の再稼働は9基にとどまる。政府は発電時に二酸化炭素を排出しない原発の再稼働や新増設の決断が必要である。
パリ協定に罰則はないが、目標を達成できなければ日本の国際信用は失墜する。米国の離脱を論評している場合ではない。足元の原発安全審査の進捗(しんちょく)が望まれる。
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