東証プライム企業の老人ホームで不正28億円「現場に責任押しつけ」スタッフ怒りの声 社長が単独インタビューに答えた


【写真】「紹介してくれたら150万円」老人ホームが入居してほしい高齢者とは 過剰な訪問看護で得た診療報酬が原資に…医療費が流出している?

 この企業は、パーキンソン病専門の有料老人ホームを各地で運営する「サンウェルズ」(本社・金沢市)。北海道から熊本県まで14都道府県で「PDハウス」という名前の老人ホームを約40カ所運営している。

 同社のように難病や末期がんの人を対象にした老人ホームは「ホスピス型住宅」などと呼ばれ、近年各地で急増している。高齢化で死者数が増えていることや、国が医療費抑制のため病院から早期の退院を促していることなどが背景にある。

 サンウェルズもここ数年で次々とホームを開設。高い利益率で急成長し、昨年7月に東証プライム上場を果たした。介護業界でも投資家の間でも注目株の会社だった。
 ところが、急成長の裏にはカラクリがあった。同社を含め、ホスピス型住宅の多くは入居者向けの訪問看護・介護ステーションを併設。家賃を安くして入居者を獲得し、その分、過剰な訪問看護・介護を提供したり、診療報酬などを不正請求したりして稼ぐ―というビジネスモデルが一部で横行しているとされる。

 サンウェルズの訪問看護を巡る不正・過剰な報酬請求は、昨年9月に共同通信が報道した。サンウェルズは当初「そうした事実は一切ない」と否定したが、その後、外部の弁護士らによる調査委員会を設置。2月7日に調査報告書が発表された。

 報告書の内容は、それまでの会社側の説明を覆すものだった。42カ所(調査時点)のホームのうち41カ所で不正請求を行っていたと認定。総額で約28億4700万円に上ると試算した。不正の手法は次のようなものだ。

 (1)入居者が眠っているのを看護師が数秒~2、3分で確認した場合や、睡眠状況のセンサーの画面を事務室で見ただけの場合でも、約30分訪問したように記録

 (2)実際には2人で訪問していないのに複数人で訪問したことにして、加算報酬を請求

 訪問時間を「約30分」と偽るのは、診療報酬を請求するには制度上、30分以上が原則と定められているからだ。
 報告書は、必要ないのに訪問する過剰な請求も広く行われていたと指摘した。一定以上の症状がある入居者を対象に毎日、1日3回複数人で訪問することが標準とされ、高い売り上げ目標が設定されていたので、その通り実施しなければならないとの認識が広まっていた、としている。



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