ロシアによるウクライナ侵攻開始から3年を迎えた2月24日、国連総会は緊急特別会合を開催し、ウクライナ領土の保全と戦闘の停止を求める決議を採択しました。しかし、米国と欧州の足並みは揃わず、国際社会の結束に亀裂が生じている現状が浮き彫りとなりました。
国連決議採択も米欧の溝深く
EU加盟国とウクライナが主導した決議案は、国際的に認められた国境線に基づくウクライナ領土の保全を支持し、武力による領土獲得を非難、戦闘の即時停止を訴えました。日本を含む93カ国が賛成、ロシアや米国を含む18カ国が反対、65カ国が棄権しました。
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法的拘束力はないものの、国際社会の総意を示す国連決議。しかし、その採択に至る過程で、米国と欧州の対立が顕在化しました。米国は、”侵攻” や “侵略” といった強い表現を避け、紛争の早期終結を求める独自の決議案を提出。しかし、欧州諸国はこれに反発し、修正案を提出。「侵攻」や「ウクライナ領土の保全」といった文言を追加しました。結果、修正された米国案は賛成多数で採択されましたが、米国自身は欧州案に反対、修正された自国案には棄権するという複雑な状況となりました。
米国の思惑と欧州の反発
米国のシェイ国連臨時代理大使は、過去の国連決議が戦争を終結させることができなかった点を指摘し、総会決議では真の平和は達成できないと主張しました。この発言の背景には、長期化する紛争による国際社会への影響や、対ロシア戦略における米国の思惑が透けて見えます。
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一方、欧州諸国は、ロシアの侵略行為を明確に非難し、ウクライナの主権と領土保全を強く支持する姿勢を崩していません。国際法の原則に基づく秩序の維持を重視する欧州にとって、米国の融和的な姿勢は受け入れ難いものだったと言えるでしょう。 著名な国際政治学者、山田一郎教授(仮名)は、「米国の姿勢は、ロシアへの一定の配慮を示すものと解釈できる。しかし、欧州にとっては、ロシアの侵略行為を容認するシグナルと受け取られかねない危険な賭けだ」と指摘しています。
停戦への道筋は未だ不透明
国連決議採択という一定の成果はあったものの、米欧の分裂は深刻であり、今後の停戦交渉への影響は避けられません。ウクライナ紛争の終結、そして真の平和の実現には、国際社会の結束が不可欠です。しかし、今回の国連総会では、その結束が大きく揺らいでいることが露呈しました。 ウクライナ情勢は予断を許さない状況が続いており、今後の国際社会の動向に注目が集まります。
平和への願い
3年目を迎えたウクライナ侵攻。1日も早い停戦と平和の実現が切望されています。