あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区 https://www.aham.jp )で開催の「ラファエル前派の軌跡展」( https://prb2019.jp )。日本初公開となるダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(1828~82年)の「ムネーモシューネー(記憶の女神)」には、奇妙な三角関係が隠されている。
モデルとなったのは恋人のジェインという女性で、画家の友人で芸術家、ウィリアム・モリス(1834~96年)の妻であった。モリスはアーツ&クラフツ運動の祖として、壁紙や家具、ステンドグラスなどの作品を扱った。妻とロセッティの関係を知りながら、モリスは3人で住む別荘を借りていたこともあったという。
ロセッティを中心メンバーとするラファエル前派は19世紀中頃、英国美術の刷新を目指し20歳前後の若い画学生らで結成。当時、美術学校で手本とされていたルネサンスの巨匠、ラファエロ(英語名・ラファエル)以前の時代の表現を目指した。グループでの活動は数年と短かったが、ラファエロの画風に抗した斬新な取り組みは、後の美術史に大きな影響を与えた。
メンバーにとって、女性は大きな位置を占め、愛人ら多くの女性が作品に登場したという。3人の関係も、芸術活動の肥やしになっていたのだろうか。複雑な関係を念頭に、作品を鑑賞してみては。
「ラファエル前派の軌跡展」の開館時間は10時~20時(月曜・土曜・日曜・祝日は18時に閉館)。12月15日(日曜)まで。
問い合わせは、あべのハルカス美術館(06・4399・9050 https://www.aham.jp )。