石破首相に辞任要求が相次ぐ:参院選大敗後の自民党内、激震と「けじめ」の行方

参院選での歴史的な大敗を受け、自民党内では激しい動揺が広がっている。28日に開催された両院議員懇談会では、続投の姿勢を崩さない石破茂首相に対し、辞任を求める声が相次ぎ、党本部は異様な熱気に包まれた。出席した国会議員236人の間では、問題意識や思惑が複雑に絡み合い、党の未来を巡る混迷が深まっている。翌29日には、首相退陣に向けた布石ともとれる両院議員総会の開催が決定され、自民党はまさに存亡の危機に揺れている。

石破茂首相の真剣な表情。参院選大敗後の党内から辞任を求める声が相次ぐ状況を示す。石破茂首相の真剣な表情。参院選大敗後の党内から辞任を求める声が相次ぐ状況を示す。

両院議員懇談会、紛糾の4時間半:「即時辞任」求める声が圧倒的

当初2時間を予定していた両院議員懇談会は、議論の白熱から4時間半に延長された。参加議員からは、石破首相の即時辞任を求める意見が圧倒的多数を占めたという。青山繁晴参院議員は、懇談会の様子を問う記者に対し、「圧倒的に『(石破首相は)すぐ辞めるべきだ』という意見が多かったです」と述べた。青山議員自身も首相に辞任を要求した一人であり、懇談会中に他の議員とやり取りしていたと見られるスマートフォンの画面には、赤い怒りマークの絵文字が確認できたほどだ。

青山議員は、参院選大阪選挙区で27年ぶりに議席を失った責任を取り、27日に党大阪府連会長の辞任を表明したばかりだった。この背景には、今回の選挙結果への強い危機感と、党執行部への不満が募っていることが伺える。

「党の仕切り直しに不可欠」:鈴木貴子議員が強調する「けじめ」の重み

石破首相に明確な「NO」を突きつけたのが、鈴木宗男参院議員を父に持つ鈴木貴子衆院議員だ。首相退陣要求の急先鋒である茂木敏充前幹事長からは「妹分」と呼ばれ、27日には茂木氏のYouTubeに出演し、「(首相退陣は)自民党の仕切り直しには必要なステップだと思う」と語っていた。

懇談会でも鈴木議員は、首相の「けじめ」を強く要求した。彼女は、「箸の上げ下げまでは申し上げませんけれども、やはり(昨)秋の衆院選、首都決戦と(首相)自らおっしゃられた都議選、政権交代の意味合いを帯びる参院選での大敗。この責任というものは組織の長として、総裁はじめ執行部のみなさまがたにはけじめをつけていただきたい」と、語気を鋭く訴えた。

しかし、彼女は同時に、責任は石破総裁や執行部のみにあるわけではないと付け加えている。「もちろん、石破総裁もしくは執行部のみの責任であるということではありません。自民党全体で一丸となって党改革に努めていく、その上で組織としてのけじめが今求められている」この発言は、単なる首相交代に留まらず、党全体の抜本的な改革と、そのためのリーダーシップ交代が不可欠であるという、より深い問題意識を示唆している。

まとめ:自民党を揺るがす「けじめ」と改革の波

自民党内で高まる石破首相への辞任要求は、参院選大敗という厳しい現実が突きつけた「けじめ」の問題に集約される。青山繁晴議員や鈴木貴子議員の発言は、党の現状に対する強い危機感と、再起に向けた切実な願いを反映している。単にトップを交代させるだけでなく、党全体で責任を共有し、改革へと向かう姿勢が今、求められている。両院議員総会の開催決定は、この党内混乱が新たな局面へと移行する兆しであり、自民党がこの難局をいかに乗り越え、国民の信頼を取り戻すのか、その動向が注目される。

参考文献