憲法審 首相任期にらみ遅滞作戦も





衆院憲法審査会に臨む与野党の議員ら=7日午前、国会(春名中撮影)

 衆院憲法審査会で7日、実質的議論となる自由討議が2年ぶりに行われ、国会の「職場放棄」という異常事態はひとまず解消された。ただ、今後も審査会が円滑に開かれ、改憲議論が深まるかは見通せない。安倍晋三首相の自民党総裁任期が残り2年を切った中、与党は改憲手続きを定めた国民投票法改正案の成立を次の目標に定めるが、改憲に反対する野党は遅滞戦術に出る公算が大きい。

 「2年ぶりに自由討議が行われたことは良かった」

 与党筆頭幹事として野党との折衝に当たる自民党の新藤義孝氏は7日の審査会後、記者団にこう語った。自由討議は、首相が具体的な改憲スケジュールを示し、自民党が憲法9条への自衛隊明記など4項目の改憲案をまとめたことに反発した野党が議論を拒否し、長く停滞していた。自民党議員は「ようやく動き出した」と議論の再開に胸をなで下ろした。

 ただ、今回の自由討議はあくまで欧州視察に関する内容で、野党が乗りやすい事情もあった。約1300万円の国費を投じた視察の議論まで拒み続ければ、世論の批判を浴びるのは明白だからだ。自民党幹部は「野党が素直に協力するのはここまで」と警戒する。

 実際、新藤氏は審査会に先立つ幹事会で14日の国民投票法改正案の採決を提案したが、CM規制の先行議論を求める野党は応じなかった。さらに野党は、欧州視察に関する追加の自由討議を提案。改正案の採決に進ませないための口実とみる向きもある。

 積極的な議論を訴える日本維新の会の馬場伸幸幹事長は7日の審査会で、2年にわたり停滞してきた状況を批判した上で「改憲原案の発議や国民投票法の審査のために憲法審を設ける」と規定した国会法の条文を読み上げた。国民に開かれた議論を継続するのか、政局がらみの職場放棄を繰り返すのか、今後の動きに憲法審の存在意義がかかっている。(石鍋圭)



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