日本で20年以上暮らすクルド人男性のBさん。5回もの難民申請が不認定となった今も、埼玉県川口市で生活を続けています。彼はなぜ日本にとどまり続けるのか?その背景にある複雑な事情、そして彼が語る日本での生活、震災支援への取り組みについて迫ります。
川口市に根を下ろすクルド人男性Bさんの軌跡
Bさんの事務所は、川口市北東部の閑静な住宅街にあります。大きな看板を掲げた事務所と、周囲の資材置き場は遠くからでも目を引きます。彼はこれらのヤードも所有しているとのこと。
解体業を営むBさんの事業内容
Bさんは、20人ほどの従業員を抱える解体業を営んでいます。従業員の国籍は日本、キューバ、ブラジル、パキスタン、ウズベキスタンと多岐にわたり、ビザの種類も様々。仮放免の従業員はアルバイトとして雇用し、長期雇用は避けているといいます。「入管も見逃している」という言葉からは、在留資格の問題の複雑さが垣間見えます。
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来日と難民申請の繰り返し
現在30代前半のBさんは、2002年に初めて来日。一度帰国後、2004年に母、兄と共に再来日しました。トルコで逮捕歴のある兄は、偽造パスポートを使っての入国だったといいます。その後、家族で4回にわたり難民申請を行うも不認定。5回目の申請を行いながら、難民不認定処分取消訴訟を最高裁まで争うも敗訴。現在も送還忌避者として日本に留まっているのです。
家族と会社経営
Bさんは、奥さん名義で解体業を経営し、自身は株主という立場。奥さんは日系ブラジル人で、10歳、7歳、4歳の3人の子どもたちは定住者の在留資格を持っています。Bさん一家は、日本でしっかりと根を下ろしていることが分かります。
震災支援への熱意
2023年2月に発生したトルコ・シリア地震の際、Bさんは被災者救援に尽力しました。彼はその時の様子を熱心に語り、被災地への強い想いを伺わせました。日本社会への貢献意識の高さも感じられます。
Bさんの日本への想い
Bさんは、長年日本に住み、政治家との面会やボランティア活動にも積極的に参加してきたといいます。感謝状も受け取っており、日本社会からの評価も感じているようです。「日本社会に貢献している」という自負と、日本で生活を続けたいという強い意志が伝わってきます。
クルド人問題と日本の未来
Bさんのケースは、クルド人を取り巻く複雑な状況、そして日本の移民問題の縮図とも言えます。今後、日本社会はどのように多文化共生を進めていくべきなのか、改めて考えさせられる事例です。