「耳元で声がした」「そこには6柱の戦没者が埋葬してある」硫黄島で聞いた「不可思議な話」


【Q】硫黄島で知り得た情報を教えて(不可思議な話その1)

民間人の上陸が原則禁止された硫黄島に4度上陸し、日米の機密文書も徹底調査したノンフィクション『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』が発売たちまち13刷と話題だ。

【写真】日本兵1万人が行方不明、「硫黄島の驚きの光景…」

普段ノンフィクションを読まない人にも届き、「イッキ読みした」「熱意に胸打たれた」「泣いた」という読者の声も多く寄せられている。

ここでは、硫黄島に関する疑問・質問に答える。

【A】こんな不可思議な話を聞きました。

今回は、これまで聞いた不可思議な話のうち2つを紹介します。

いずれも体験者本人から直接聞きました。

(1)夜の戦跡にて

何度も渡島経験のあるAさんが慰霊事業で在島中のある日の夕食後、戦跡を見たいというBさんら数人を連れて宿舎近くの戦跡に行った。懐中電灯を持って先頭を歩いていると、後方を歩いていたBさんが突然、悲鳴を上げた。

Aさん「何、どうしたの?」

Bさん「耳元で声がした…」

Aさん「え?」

Bさん「聞こえなかった…? 『ハロー』って…」

全員が脱兎の如く、宿舎まで逃げ帰ったそうです。

声の主が「霊」だとしたら、日本側兵士ではなさそうと思った不可思議な話です。

(2)硫黄島で見た夢の話

在島中のある夜、日本兵が夢に出て、こう言った。「今、あなたたちが探している場所には遺骨がない。○×(場所)を掘ってほしい。そこには6柱の戦没者が埋葬してあるから、収容してほしい」。

翌朝、この話を食堂か洗面所で同じく収集団員のDさんに伝えると「私も昨夜、まったく同じ夢を見た!」とのことで2人はびっくり。夢で指定された場所を掘ると、本当に6柱の完全な遺骨が出てきた。整然と並んでいたことから、戦友に埋葬された兵士たちと推察されたという。

この話をしてくれたCさんは私にこう言いました。

「硫黄島はね、こんな話がいくらでもありますよ」。そのほかにも不可思議な話は17年間の取材の中で、たくさん聞いたり読んだりしました。

酒井 聡平(北海道新聞記者)



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