「富豪が住み、豪邸が並ぶ関西屈指の高級住宅街」というイメージを持つ芦屋。特に六麓荘町はその象徴として知られています。しかし、実際にそこに暮らす人々がどのような生活を送り、何を考えているのか、その実態は多くの人にとって謎に包まれているのではないでしょうか。本記事では、フリーライター・加藤慶氏の著書『誰も知らない「芦屋」の真実 最高級邸宅街にはどんな人が住んでいるか』から、その一部を抜粋し、芦屋の富裕層が送る知られざる日常と、独特の社交文化に焦点を当ててご紹介します。
六麓荘町、その日常の意外な一面
六麓荘町に暮らす人々の生活と聞くと、多くの人はハリウッド映画に出てくるような豪華絢爛な日々を想像するかもしれません。毎日ワイングラスを傾け、豪華なディナーを楽しみ、パーティー三昧の生活を送っているというイメージが一般的です。しかし、ある六麓荘町の住民は、その実態が意外にも地味であると明かしています。彼は、「むしろ大阪のタワーマンションに住む人々のほうが派手ではないかと思うくらいです」と語り、日々の暮らしが想像以上に落ち着いていることを示唆しています。
もちろん、日常が地味であるとしても、六麓荘町には独自の文化が息づいています。新築の住戸が建てられた際には、近隣住民を招いて盛大なホームパーティーを開催するのが古くからの慣習となっています。このような場では、大阪の名店から寿司職人やイタリアンのコックを招き、自宅で一流の料理を振る舞うことも珍しくありません。また、シーズンに一度、近所の人々を集めてパーティーを開いたり、気心の知れた奥様方が昼間からワインを嗜む優雅なひとときを過ごしたりすることもあるのです。
兵庫県芦屋市、日本屈指の高級住宅街である六麓荘町の街並み
贅を尽くしたホームパーティーの実態
六麓荘町で行われるホームパーティーは、ひとたび開催が決定すれば、その内容は極めて豪華になると住民は語ります。一般的なスーパーで購入した惣菜が並ぶような光景とは一線を画しています。実際に六麓荘町でよく見かける光景として、リーガロイヤルホテルのトラックが頻繁に出入りしていることが挙げられます。某有名企業の社長宅などでは特に顕著で、ケータリングの荷物が素早く運び込まれ、白いコック帽をかぶったシェフたちが邸宅内で食事を提供する様子がうかがえます。
このような豪華なパーティーに招かれた場合、会費は無料であるにもかかわらず、手ぶらで行くことはマナーに反するとされています。招待客は、パーティーに持っていくものについて「何がいい?リクエストはある?」と主催者に尋ねることが一般的で、気さくな主催者であれば「デザートの洋菓子をお願いしようかな」と具体的に答えてくれることもあるそうです。しかし、手ぶらで良いと言われても、さすがに何も持たずに行くことはできず、ワインやお花など、何を贈るべきか悩むという声も聞かれます。六麓荘町の富裕層の生活には、このような細やかな社交上の配慮と、独特の文化が存在しているのです。
結論
芦屋の六麓荘町は、「富豪の街」という華やかなイメージの裏で、意外なほど地味な日常も存在しています。しかし、その一方で、新築祝いや季節ごとの集まりとして開かれるホームパーティーは、寿司職人や有名ホテルのケータリングを招くなど、まさに贅を尽くした社交の場となっています。この地の住民は、日々の暮らしと特別な社交行事との間で独自のバランスを保ち、洗練された富裕層ならではの文化を育んでいるのです。芦屋の真実を知ることは、単なる高級住宅街の情報を超え、日本の社会における多様な生活様式と価値観を垣間見ることと言えるでしょう。





